【ゲーム業界必見】ゲーム開発におけるAI・データ活用の可能性を探る

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こんにちは、データデザイン部でディレクターを担当しております渡邊です。
今年の初めまで某ゲーム会社に勤務しており、新規モバイルゲームの開発ディレクター・プランナー・分析などを担当しておりました。

今回はAI事業のディレクター視点、元ゲームディレクター視点の両方から考えた、「ゲーム開発におけるAI適用の可能性」を検討したいと思います。
現状弊社で提供しうるサービスを記載しておりますので、興味を持たれた方はお問い合わせいただけますと幸いです。

目次

はじめに

ゲーム開発におけるAIというと、伝統的にはNPC(non player character)挙動やマップAI管理のことを指していたことが多かったと思いますが、現在の最新AI技術の発展を踏まえると、ゲーム開発全体を大きく効率化することが可能です。

最新のAI技術では、ゲームそのものをAIに学習(プレイ)させ、そのまま自動生成させることに成功しています。

出典:誕生40周年を迎えるパックマンを、NVIDIAの研究者たちがAIで再現
PAC-MANTM & ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

こちらのゲーム生成AIでは40年前のパックマンを一部不完全な形でしか作ることができていません(AIはパックマンをプレイしてもミスをしないため、プレイヤー死亡時の処理に対応できなかった)。しかし近い将来、最新型ゲームをそのまま再現・加工することができるAIが登場することは想像に難くありません。

現在のビジネス現場での実用レベルでお話しますと、AIでゲームをそのまま生成することはまだ難しく、キャラクター生成・背景生成・音楽生成などが現実的なラインかと思われます。

有名な事例としては、手塚治虫作品を学習したAIから作成されたキャラクター「ぱいどん」が実際に漫画誌に掲載されていること、などがあげられます。

出典:手塚治虫AIの新作「ぱいどん」の前後編を公式サイトで一気見できる!
「モーニング」4/16発売号でも後編の掲載決定

©「TEZUKA2020」プロジェクト

ゲーム開発プロセスごとの活用方法

他にもAIは様々な使い方ができるため、使いこなすことができればゲーム開発の効率化に大きく寄与していくことは間違いありませんが、どこにどう使うことができるのかがわかりにくい(少なくとも現場のディレクターレベルで認識している人は少ない)ことが欠点であると考えています。

以下では、具体的なゲーム開発プロセス段階に合わせて、AIが活用できる業務の事例を紹介していきます。

市場調査・企画段階

こうしたゲームの企画の段階においては、市場調査、特に海外市場調査フェーズにおいてAIが非常に有用になると思います。

ゲームを作る際にもIPオーナー様がどの程度海外市場情報を有しているかには幅があり、IP人気度を正確に、定量的に把握することは困難なことも多いです。ですが、海外それぞれの地域において、リリースするのか、マーケをどの程度実施するのか、といった判断をする際、各国でどの程度人気なのかを正確に理解することは非常に重要です。

過去には、人工知能研究者の松尾先生の研究室が提供する、AsiaTrendMapというサービスが存在していました。このサービスは、各言語において、そのIPがどれだけ注目・情報更新されているかなどをもとに言語圏別のIP人気度を調査したものであり、自分もゲーム開発者時代、頼りにしていたサービスでした。

このシステムをシンプルに復活・発展させる形でも有用と思います。

また、各国ごとのゲームシステムの流行り(中国で刀塔傳奇が流行っていたように)も合わせて分析することで、地域ごとのゲーム売上を定量的に予測するサービスも作成可能と考えます。具体的には、

  • どのIPを使うのか
  • どの地域でリリースするのか
  • どのゲームシステムを採用するのか

これらを入力することで、現時点での市場から、各国におけるモバイルゲームの売上ポテンシャルを計算する形になります。

国内市場に関しては多くの開発者の方がすでに知見を持っているので、改めて分析ツールを導入する需要は少ないとは思いますが、分析の自動化や大量のデータの分析(売上上位のタイトルだけでなく、売上下位タイトルも対象に含めたジャンルの人気度分析など)も対応可能ですので、コスト削減・分析精度向上を目指したい場合はぜひご相談いただければと思います。

開発段階

実際にゲームを開発する段階においては、特に生成系AIが活躍する余地が大きいと思います。

現状の研究や各企業の発表を見るに、まずは2次元(アニメ)の背景生成、それからキャラクター生成、次に3Dモデルの生成が取り入れられることが予想されます。アニメ背景だけでも多くのコストをかけている企業が多いですので、その業務の簡略化、自動化には大きな効果があると考えています。

AIでの実績としては、絵柄を合わせた新しい絵画の生成(人間には見分けがつかないレンブラントの新作をAIが生成した件など)が有名と思いますが、一定の筆致やテイストを保ちながら新しい絵を生成することにAIは長けていますので、テイストを合わせて新しいものを描くことについては期待していただいてよいのではないかと思っております。

出典:機械学習したAIがレンブラントの”新作”を出力。絵具の隆起も3D再現した「The Next Rembrandt」公開

こちらは、二次元上の情報の再現だけでなく、絵の具の厚さ具合なども再現した三次元でのレンブラント絵画の再現プロジェクトとなっています。

昨今ではアニメ・ゲーム作品においてもクオリティを高めるために、背景にも細かい書き込みが求められることが多くあります。細かく芸術的な絵柄・背景をキープしながらのゲーム制作には、多くのコストがかかることが予想され、担当できる人間も限られますので、将来性も踏まえてご検討いただければ幸いです。

チェック・検証段階

ゲーム開発には様々なチェック・検証段階があります。

一般的には、企画段階、プロト段階、α・β段階、FGI(Focus Group Interview)、CBT(クローズドβテスト)、といったところでしょうか。それぞれの調査内容は、適切に社内で審査されていることと思いますが、FGI、CBTを実施したデータを統計的に使い、「この評価であれば、統計的に何が言えるのか(初動売上/初動DLの予測)」、までを定量的に適用されている企業様は少ないのではないでしょうか。

ライフログを分析することで将来の健康状態を予想するように、FGI・CBTなどのデータをもっと深く活用することで将来の売上、もしくは初動の実ユーザーの予測などが可能になることが考えられます。
調査対象や調査人数が統計的に正しければ一定の成果が出ることが予想されますし、そもそも今までの調査対象・人数では適切な評価ができていなかったのだ、ということなども見える化できると思います。

ただ、「アンケート設計~数年かけて統計的に有意義な調査かどうかを導き出す」、といった行為は、専門的で工数のかかる作業ですので、こういった部分は我々のようなAIベンダーにご依頼いただくことで効率化できると考えています。

また、既存の調査段階以外にもAI・定量評価を軸とした新しいチェックプロセスの導入も考えられます。

例えば、ハリウッドで用いられている「ログライン検証の手法」を使い、そもそものゲームコンセプト、あるいはゲームのシナリオコンセプトを一般ユーザー評価させる手法を取り入れれば、企画段階でそのシナリオが刺さるかどうかもある程度判断することができますし、調査時点でのユーザーの反応が、実際にリリースした時にはどういった傾向とつながるのかは、AIが客観的に判断することができます。

運用段階(リリース後)

リリース後もゲーム開発(特にモバイルゲーム)は続きますので、開発段階やチェック段階で実施していた内容が、引き続き継続されます。

この段階でのAI活用として、イベント分析の精緻化がより高い精度でできれば、ディレクター交代によるタイトルクオリティ低下などの俗人化による売上低下防止につなげることができると想定されます。私の古巣でもすでに活用事例があり、主にリリース前テスト作業(レベルデザイン調整・デバッグなど)に活用されている状況が公開されています。

出展:ブレインパッド、セガゲームスの深層強化学習を用いたAIシステムの実用化を支援し、ゲーム開発プロセスの効率化と品質の向上に貢献

ご興味を持たれた方へ

ゲーム業界からAI業界にやってきて、色々と見えてくるものがありました。「知らなかったが故の非効率業務」の気づきを活かし、現在の自分であれば、ピンポイントで効率化するための探し出すことができると考えています。

将来的には、もっとAIで効率的にゲームや映像、色々なエンタテインメントを作れる社会を作りたいと思っています。

私自身、個人制作でも業務としても、これまでなんどもゲームや映像制作にトライしていますが、なかなかプログラムがうまく進まない、素材がうまく手に入らない、時間が足りない、気にいったクオリティまで仕上がらないといった経験があります。このような課題は、どんなプロジェクトでも多々あるのが常だと思います。そういった問題をAIの力で解決できる部分があれば、ぜひとも貢献させていただきたいと思い、この記事を書かせていただきました。

また、ゲーム業界だけでなく、出版・映像制作業界の方々にも適用できる技術は多いかと思いますので、ご興味を持たれた方は、ぜひ一度ご連絡いただけますと嬉しいです。

誰もが簡単に表現・クリエイトできる社会を目指して、今後も頑張っていきたいと思っていますので、ぜひ皆様のお力添えをいただけますと幸いです。

弊社へのご相談は無料ですので、ぜひこちらからお問い合わせください。

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WRITER
Kan Watanabe

ディレクター

渡邊   幹 Kan Watanabe

新卒からゲーム会社にてコンサル業務・海外市場分析業務、ゲームディレクター・プランナーなどを担当。 SFが好きでゲーム・エンタメを志していたが、AI技術の発展から、「現実におけるSF実現の気配」を感じ、AI事業へ飛び込む。  2020年6月より富士通クラウドテクノロジーズに入社。AIを使ったSFの実現・クリエイター支援を目指します。  JDLA Deep Learning for GENERAL 2020

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