【実際の料金例も公開!】AIは安くない?

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みなさんはAIの金額について考えたことはありますか?AIの導入を検討し始め、見積書を見て、その金額に驚いたり正しい判断ができなかった人も多いのではないでしょうか。

AIは安くありません。膨大なデータが必要なほか、そのデータを整備する費用、さらに計算機にかかる費用など、一般的なシステム開発プロジェクトとは異なる部分で費用が発生します。

この記事では、AIは安くないというテーマで、AI開発の単価について考えていきます。

AI開発の相場観:AIは安くない

さまざまな分野で活用が進むAI(機械学習)技術は、うまく活用されれば、今までにできなかった規模の業務効率化コストダウン、さらにビジネスモデルの変革をもたらします。

しかし冒頭に述べた通り、AIは安くありません。

 

AIには大別して以下のようなケースがあります。

  1. 膨大なデータを学習済みで、クラウド上でそのままサービスを利用できるケース
  2. 膨大なデータを学習済みのエンジンを提供するケース
  3. 個社ごとにデータを準備し、学習、モデルを作成して実装するケース

上記は1→3の順に開発費用が膨大になる傾向があります。1のようにサービスとして利用できれば数千円〜数万円/月程度の金額でAIを活用することができます。チャットボットやAI-OCRなどの分野ではサービスとして提供されるAIも増加してきました。

 

1のようにサービスとして利用できなくても、個社ごとの利用シーンに合わせて受託開発を行う企業が独自にエンジンを構築し、そのエンジンを転用することで、人件費が抑えられ、金額が安くなるケースもあります。

例えば、株式会社シナモンは、先端の非定型帳票対応のAI-OCRエンジン「FLAX SCANNER」や文章を理解するエンジン「Aurora Clioper」などを利用し、個社のニーズに合わせて開発を行っています。

 

3では、個別の企業毎にデータを収集し、AIの利用シーンに合わせてデータを学習させ、現場に実装します。データの収集から実装まで、プロジェクトが煩雑で長期間に渡ることから費用も高額になる傾向があります。

1〜3のAI開発の費用感は以下のようになります。

  1. 数千〜数十万円 / 月
  2. 数百万円〜数千万円
  3. 数千万円〜

近年では、3のケースでも受託開発を行う企業内でノウハウが蓄積して人件費が抑えられたり、今までの利益を社内のサーバの増強に投資し、データの学習にかかる計算費用が抑えられたり、MLOps(“Machine Learning”と“Operations”の造語)によって機械学習モデルをつくる環境を整えたりすることで、AI開発の費用を低下させるケースも増加しています。

特にAIプロジェクトが乱立する中、社内のリソースを有効に活用し、金額を下げ、競合優位性を向上させようとしている受託開発企業が増加しています。

なぜAI開発には費用がかかるのか

前章であげた1や2のケースでAIを導入できない場合、個別にAIを構築する必要が生じ、どうしても数千万円〜の費用がかかってしまいます。データの量が膨大だったり、複雑な判断 / 認識を伴うAIの場合はさらに費用が上乗せされてしまいます。

では、なぜAI開発にはここまで膨大な費用がかかるのでしょうか。

データの収集と整形

まず、AIの開発で抜きにできないのはデータの存在です。AIが判断基準を得て、人間の代わりに判断や認識を行うようにするには、人間の判断基準(ラベル)が含まれたデータを膨大に学習し、そこから判断基準を学習しなければなりません。

例えば、犬の画像を犬と判断するAIを構築する場合、ただ単に犬の画像を大量に学習すればいいわけではありません。犬の画像の中でどの部分が犬なのかを指し示す(アノテーション)データを膨大に準備し、それをAIに学習させる必要があるのです。

このデータの収集と整備は、構築するAIの精度にも大きく関わる重要な作業です。アノテーションの精度が、アノテーターごとに異なったりするだけで、大きくAIの精度が下がってしまいます。

 

現在、データの収集や整備をクラウドワーカーで担っていくネットワークなども構築されています。例えば株式会社バオバブは自社がかかえる世界中のスタッフと協力し、画像やテキストにラベルを付与し、データの収集や整備を担うネットワークを構築しています。日本を代表するAI開発企業のPreferred Networksなどもバオバブのサービスを利用して高品質なデータセットを作成し、高度なAIを構築しています。

このように専業の企業があるほど、データの収集 / 整備はAI開発において要となっている作業です。

また、データは必ずAIの目的に付随した変数を持っていなければなりません。例えば、売上を予測するAIを構築する際に、ある日の店員の体調のデータがあっても、売上向上に繋がる結果が導き出せません。天気や曜日など、売上に繋がるデータが揃っていなければ、そもそもAIを開発することは困難を極めます。

AI開発の費用を見る際には、データの有無データの形式などをチェックしてみると良いでしょう。

人件費

AIのプロジェクトを立ち上げ、現場に実装していくには、技術のトレンドを抑えつつ、現場の状況に合わせて設計していく臨機応変なスキルが求められます。

昨今のAI分野のニーズの高まりから、AIの開発を担う人材の人件費が高騰しています。求人ボックスによると、AIエンジニアの仕事の平均年収は約593万円とプログラマーの平均年収は約436万円と比べて約150万円程度高い水準になっています。

 

また、求人ボックスによると、AIエンジニアの給与幅(全体)は377〜1,062万円と幅広く、務める企業や経験・求められるスキルによっても大きな差が生じてきます。

日々技術革新が進むAI分野では、最新の技術に精通したAIエンジニアの希少性が高い状態が今後も続いていくと考えられます。これにより、AIの開発プロジェクトも、期間が長くなればなるほど人件費が高騰し、合わせてAIプロジェクトの費用も高くなっていくでしょう。

参考記事:AIエンジニアの仕事の平均年収は593万円!給料ナビで詳しく紹介|求人ボックス

アフターケア

日々、環境が変わる箇所で活用されるAIでは、一度完成したはずのAIもすぐに使い物にならなくなってしまうかもしれません。これは、学習したデータから得た前提条件が変化してしまうことが挙げられます。

そのため、個別に作成したAIでは、プロジェクトが終わった後も、保守費用がかかるケースがあります。日々、新しいデータを学習(オンライン学習やバッチ学習)させるため、計算費用や人件費がかかってしまいます。

 

AIのプロジェクトを企画する際は、AIが納品された後も、保守・運用が必要になるのかどうかを検討しておく必要があります。

AI学習プラットフォームを提供するAidemyは、このAIの保守・運用のコストを下げるためのツール「modeloy」を提供しています。AI開発後の実運用の課題を下げ、運用にかかる業務負担を減らすことができるのが特徴です。機械学習モデルの圧縮などの機能も搭載され、より効率的にAIの運用ができるようになっています。

AI開発を安くするには?

ここまでAI開発の相場感や、AI開発が安くない理由を説明してきました。そこでAI開発を安くしていくためにはどうしたらいいのかを解説していきます。

1>2>3の順序で課題を解決する

AIを導入する際には、最初から3のAIプロジェクトを立ち上げてしまうケースも散見されます。セキュリティリスクなどで、どうしても自社独自でシステムを構築しなければならない企業もありますが、できるだけ社会で活用されているサービスやエンジンを活用することで費用を下げ、車輪の再発明を防ぐことができます。

また、1や2で現場の課題が解決できるかどうかを試しながら、それでも無理な場合には3のアプローチをとっていくことも重要です。また、そもそも1以前に、その業務自体をなくしてしまっても問題がないケースや、業務の仕組みを根本から変えるだけで解決するケースもあります。

 

優先度が高くない場合は、1や2からチャレンジすることで、成功体験も蓄積し、3のような大規模なプロジェクトを立ち上げるための予算も得られやすくなります。

まずは小さく改善し、雪だるま式にAIのプロジェクトを大きくして社内に行き渡らせていくことが重要です。

 

徐々に内製化していく

3のような個社ごとにAIの開発が必要な場合は、社内でAIを開発する組織を作っていくことも重要です。最初から全てのプロジェクトを内製化することは困難です。しかし、例えば、最初は企画を行うPO(Product Owner)を社内で育成し、社内でプロジェクトを運用していく体制を整えましょう。

その上で、徐々にAIエンジニアを雇用するなどをし、少しずつ社内でAIプロジェクトを担えるようにしていくと、受託開発に開発を依頼するのに比べ、低コストかつ迅速なAI開発を実現できるでしょう。

 

しかし、近年では具体的なプロジェクトがないまま、AIエンジニアを雇ってしまうケースや、AIエンジニアと企業の認識が合っておらず、すぐに退職してしまうケースも聞かれるようになっています。社内でしっかりとプロジェクトを立ち上げ、必要な人材の要件を定義した上で、AI人材を採用していくのも、低コストにAI開発を行う手でしょう。

実例から考える|AIは安いのかもしれない

ではここで、実際にAIの開発にかかる③の費用の事例を考えてみましょう。

下記は、富士通クラウドテクノロジーズで提供するAI開発の見積もりの例です。あくまでも大規模なAI開発プロジェクトの例です。

①〜②だけで解決できる課題は多くありません。
自社独自の課題を解決する③のケースでは、自社で独自の課題を解決することができます。一方で、①や②と比べて費用が高額になるケースも多くなっています。

富士通クラウドテクノロジーでは、AIの費用対効果がしっかりと合うように並走しながら課題を見極め、プロジェクトを進めていきます。そのため、③でも費用対効果が合わないケースは限定されたものになっています。

POなどを内製化しつつ、課題の重要度を確かめ、費用対効果を考えることで、③のAIプロジェクトも大幅な成果をあげることができます。

一方で、安さばかりを追求し、AIのプロジェクトを立ち上げても、そのAIが活用されるに至ることは多くありません。費用にかかわらず、どんな課題を解決し、どれくらいの効果が発揮されるのかを明らかにすることで、プロジェクトを成功に導くことができます。

さいごに

AIは安くないというテーマで、AIに関する費用について紹介してきました。しかし、これは一面的な見方でしかありません。

AIプロジェクトの成功によって得られるメリットは大きく、非常に効果があるものです。しかし、POが課題の重要性を判断する力など、他の要因で水の泡となってしまうケースも、実際に存在します。

あえて最後にお伝えします。AIは高くありません。解決するべき課題がはっきりしているのなら。

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WRITER

 

  Asei AI/DX専門ライター「Asei」

AIやDXなどが専門のライター。累計執筆数500本以上。 「曖昧な技術を具体的に」を心がけ、トレンドに合わせてさまざまな視点から発信します。フリーのフォトグラファーも。

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