目標やKPIが不明瞭な中でのAIモデル開発

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はじめに

こんにちは、データデザイン部でディレクターをしております中野です。

データを活用する際には、目的や課題設定が重要となります。データを漫然と眺めたり、AIをやみくもに作ったりしても、望ましい結果は得られません。何のために、何を解決したいのかを明確にしてから、データ活用を始めるべきです。

一方で、目的や課題が定まっても目標やKPIが決めにくいケースがあります。
例えばインフラ設備の目視点検において、劣化のランクを定めていても、点検者によって何を「問題なし」とするか「兆候あり」とするかにバラつきが発生するというケースが挙げられます。この場合、人の感覚や経験によって判断しているため、何を目的変数にすればよいか決めにくい状況です。

そこで今回は、「目標やKPIが不明瞭な中でのデータ活用」というテーマで、AIモデル開発やプロジェクトのお話をさせていただきます。
ご覧になる方が、プロジェクトをどのように進めるべきかの助けとなれば幸いです。

目次

1.目標やKPIが不明瞭な事例とその理由

まずはどのような事例があるのか、何が問題なのかをご説明いたします。
企業の取り組みの中で、業種や業態、部門などに限らず、取り組みごとに目的や課題設定はあるかと思います。
例えば、飲食店の需要予測では材料の調達コストを削減するために、AIモデルの開発をすることがあります。
このケースでは、以下のように整理できるかと思います。

    目的:材料調達コスト、人員配置コストの削減
    課題:精度の高い予測を行うこと、予測業務の効率化
    目標:日ごとの来店顧客数の予測、商品ごとの売上予測
    データ:メニューとメニューごとの販売数や販売価格、各店舗の来店者数
        気象データ、カレンダー情報

上記のとおり、目的→課題→目標を定量的に表すことが可能です。そのため、目標に対して適切なデータは何なのか、採用すべき手法は何なのかを検討や検証を重ねることで定めることができます。
簡単な作業ではありませんが、ゴールが明確なため評価もしやすくなります。
実際には、精度や効率化する工数の目標値はありますが、今回は省略します。

一方で、冒頭で示したインフラ設備の目視点検のケースではどうでしょうか。
目視判断ということで、今回は仮に点検箇所の画像が取得できる前提でお話いたします。
実際には、飛行ドローンでの操縦撮影や、定点カメラでの無人撮影など、昨今では画像データを集める方法自体は多様にあるかと思います。

    -目的変数:目標やKPIが不明確なケース-

    目的:設備作業のコスト削減、人手不足への対応
    課題必要な精度で点検を行うこと、点検業務の自動化、効率化
    目標:劣化度合の判定
    データ:点検箇所の画像

上記のような事例になるかと思います。ここで問題となるのが、これまで人の感覚や経験によって判断していたため「明確な判定基準がない」「目的とする変数がない」という状況です。
つまり、目標やKPIが定量的に表せない状況です。このような場合、どういった方法で点検業務の自動化を行うAIモデルを開発すればよいでしょうか。
次項では、このようなケースのアプローチの仕方をご紹介します。

2.どのようなアプローチが考えられるか

まず、過去のデータで状態を定義できればAIモデルの開発は行いやすい状況です。先ほどのインフラ設備の目視点検の場合は、「問題なし」「兆候あり」「要交換」の画像など、それぞれの状態ごとに画像が紐づいていれば、学習することができます。
そのため、「劣化度合いの判定」という目標を達成することができます。画像認識を行う方法として、画像と状態を紐づけて判別する方法はAI導入の中で広く用いられていると考えます。

一方で難しいのが、AIが画像や映像、音楽を自動的に生成するといったケースです。
つまりは、判断基準が明確に定めきれない状態です。このような例では、目標を達成する基準が明確でないことがあります。あらかじめ目的変数を決めることや、過去のデータを分析した傾向で評価することが難しいです。
次項では、そのようなプロジェクトだった場合の進め方をお話します。

3.プロジェクトの進め方のポイント

ポイントは、「試行錯誤的・反復的にプロセスを回していくこと」と、「評価者を絞り込むこと」の2点あります。

1点目の「試行錯誤的・反復的」という観点は、モデルを構築していく中で、評価をしながら、何度か作り直す進め方となります。これによって、納得のできるモデルにまで引き上げていきます。

注意したいのは、「終わりがない」状況にならないよう進め方を決めることです。判断基準が明確化できないのであれば、達成目標を決められません。
そのため、投資する時間と予算を定める中で、いかに品質や効果を向上させていくかを組み立てることが有効であると考えています。

2点目は、「評価者を絞る」という観点です。「明確な判断基準がない」ということは、言い換えると「人により基準が異なる」という状態だと考えます。
そのため、多様な意見の集約よりも評価者を絞り込んでモデルを構築する方法が、進めやすいと認識しています。
なぜなら、多様な意見を取り入れすぎるとモデルの判断基準があいまいになってしまう恐れがあるためです。
また、前述までの事例でいえば、作業の熟練者に担ってもらうことが適切ではないかと考えております。

評価者に関しては、どのような方法が正しいか筆者も明確な回答は得られておりません。あえて多様な意見を取り入れるという観点もあるかも知れません。
ただし、考える観点としては必要な事項だと捉えています。

4.最後に

今回は「目標やKPIが不明瞭な中でのAIモデル開発」というテーマでお話しました。
AIは様々な領域や目的で活用されていますが、自社内での活用を考えることや開発の進め方が難しいと感じる方も多くいらっしゃると思います。
肝要なことは、現状認識と狙いを明らかにすることだと考えます。それらができれば、解決策や実現性の評価は我々のような事業者にご相談いただければと思います。
何かしらのご提案ができるはずです。お気軽にお問合せ頂ければと思います。

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WRITER
Hiroki Nakano

ディレクター

中野   広基 Hiroki Nakano

ディレクター 中野 広基 Hiroki Nakano ニフティ株式会社 新卒入社。マーケティング部門にて、会員情報のデータ集計、分析 社内向け分析ツールの運営。 現在は富士通クラウドテクノロジーズにて、ディレクターの立場で上記に関連する様々なデータ分析プロジェクトを実行中。JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 認定スクラムプロダクトオーナー

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