AIで社会はどう変わるか

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多くのAI関連のカンファレンスでは、AIが社会を変革することが強調されます。ソフトバンク株式会社が2019年に開催した「SoftBank World 2018」の基調講演では、孫正義氏は「人工知能(AI)が全ての産業を再定義する」と強調し、大きく話題になりました。

その他にも、多くの著名人は、AIが持つインパクトを強調し、社会が大きく変革していくと述べています。

しかし、AIで社会はどのように変わるのでしょうか。

AIで社会はどう変わるか

AIが社会をどのように変革していくのかを考える上で重要なキーワードが「限界費用」です。限界費用は、それまでのコストを考慮せずに、追加で1単位生産する場合の費用増加量を指す単位です。

例として弁当屋さんの事例を考えてみましょう。100個の弁当を作り、101個目の弁当を作るとします。この101個目の弁当をつくるためにかかる費用が限界費用です。

100個の弁当を作るために20000円の費用がかかっていた場合、1個の弁当を作るために200円の費用がかかっています。仮に大量購入で原材料が安くなっていた場合、弁当1個分だけ余分に材料を購入すると300円かかってしまうとします。

そうすると、弁当100個までの限界費用は200円ですが、101個目の弁当にかかる限界費用は300円となります。このように限界費用は、それまでにかかった費用を一切勘案せず、追加で1単位生産した場合に発生する費用を指します。

AI技術の発展によって、この限界費用は大きく低下していくことが予想されます。製品が消費者まで渡る過程を考えてみましょう。従来では工場で生産されていた製品は、進むFA(Factory Automation:工場の自動化)によって、どんどん生産コストが低下していきます。また、製品の輸送においても将来的に自動運転が普及すれば、今より格段と低いコストで運送することができるようになります。さらに店舗では無人化が進んだり、もはや各家庭に自動運転車とロボットが配送までしてくれるようになるかもしれません。

もしこのような未来が訪れれば、今流通している多くの製品の金額は大きく低下するでしょう。

ここで述べている未来は、必ずしもすぐに訪れる未来でもありませんし、確実に訪れるものではありません。しかし、AI技術が隅々まで浸透していくことによって、さまざまな業界の費用構造が大きく変動する可能性があります。

AIの普及によって、警備員や清掃員の必要性が低下すれば、ビルの家賃は安くなるかもしれません。ロボットが庭の野菜を勝手に育てて収穫してくれる未来がくれば、食材にかかる費用も大きく低下します。

カラオケや薬局、コンビニエンスストアなど、私たちが生活の中で接するさまざまな場面で、限界費用が低くなる未来がやってくるでしょう。このように、IoTの実現(とAIの活用)によって限界費用がゼロに限りなく近づく社会を「限界費用ゼロ社会」と呼びます。

AIによって深まる経済格差

限界費用ゼロ社会の到来は、言い換えれば資本主義社会の終焉でもあります。

現在、世界では資本主義が隅々まで浸透しています。資本主義社会では利潤を追求し、いかに低いコストで、高くものを売れるかが重要になっており、歴史を振り返ると、コストを開発途上国や労働者に転嫁することで、先進国が成長してきた側面があります。

また、資本主義は、未来にもコストを添加しています。便利な生活を追求し、石油などの有限な化石燃料を使い、二酸化炭素を排出し、環境問題が深刻になり、未来の私たちにコストを転嫁しています。

この資本主義社会では、貧困の格差が深刻化しています。開発途上国では、今でも1日に数ドル以下レベルの生活を送ることを強いられている人がいるだけでなく、先進国でも、十分な生活を送ることができない、相対的貧困に悩まされている人が多い状態になっています。この課題感は2015年に策定されたSDGsの目標にも反映され、目標1「貧困をなくそう」が掲げられています。

限界費用ゼロ社会は、言い換えれば多くの労働者が不要な社会です。資本主義社会では、労働者に支払う賃金もコストであり、経営者は人的コストをいかに少なくするのかを考えます。限界費用ゼロ社会では、現在の多くの労働者の労働価値を大きく低下させます。

もし、このような社会が到来すれば、資本を有する資本家のみが利益を拡大し、その一方で、資本を持たない労働者は、金銭を稼ぐ手段を失います。

一方で、限界費用ゼロ社会では、多くの費用が限りなくゼロに近くなっているため、生活を送るために必要なコストもゼロに近づき、金銭を稼げなくても生きていくことができてしまいます。モノやサービスを誰もがゼロに近いコストで利用できるようなることで、生活水準の格差は解消されるかもしれません。

こうなれば、資本主義の原理は大きく崩れることになります。そうなればどのような社会が到来するのでしょうか。

この答えは未だに決まっておらず、AIなどのデジタル技術の浸透とともに、多くの人々が議論し、あらたな社会を形成していく必要があります。

おわりに

人間の知能レベルをAIが超えてしまう特異点、シンギュラリティが2045年に起きると言われています。2045年よりも早くなるかもしれませんし、遅くなるかもしれません。

多くの場合、「シンギュラリティが起きる」ことと自分は関係ないかのように語られますが、今社会の中で役割を持つ私たちは「シンギュラリティを(理想形で)起こす」考え方が必要なのではないでしょうか。

誰もが受動的ではなく、能動的に社会のあり方を考える。その重要性を再考する必要が高まっています。

 

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WRITER

 

  Asei AI/DX専門ライター「Asei」

AIやDXなどが専門のライター。累計執筆数500本以上。 「曖昧な技術を具体的に」を心がけ、トレンドに合わせてさまざまな視点から発信します。フリーのフォトグラファーも。

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