AI推進組織論 I

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2010年代後半からAI活用の注目が集まり、国内の多くの企業がAIの活用を推進しています。そこで重要になってくるのが、AIの活用を推進する組織のあり方です。

特に規模の大きい企業では、どのような組織体制でAIの推進を行うのかが、AI活用の成功の鍵となっていると言っても過言ではありません。

この記事では、「AI推進組織論」としてAIの活用を推進する組織のあり方について、背景知識から、実際のパターンまで幅広く紹介していきます。

 

AI推進組織とは

組織の名前は企業によってさまざまですが、現在、多くの企業にAIの活用推進を担う部署が存在しています。DXの機運の高まりに合わせ、DXの推進を担っている部署がAIの活用推進も同時に担っている場合もあります。

AIの可能性に注目が高まった2010年代後半から、多くの企業で新規ビジネスや業務効率化の可能性を見極めるためにAI推進組織が誕生しました。特にCEOなどの命を受けて設立され、一から社内でのAI活用の検討を進める組織などが目立ちました。

AI推進組織がなぜ求められているのか

まず、なぜAIを推進する組織が求められているのかを解説します。AIを推進する組織が求められている理由は主に以下です。

  • AIのプロジェクトは複雑なため、専門知識を有した人材が必要だから
  • 社内の隅々までAIの活用を推進するには、特定の部署を作ったほうがいいから
  • AIの推進のノウハウや知識が集約されるから

専門知識を有した人材が必要だから

AI推進組織が必要とされる理由の中で最も重要なのは、AIのプロジェクトの複雑性です。AIのプロジェクトを進めるにはさまざまな専門性が必要です。

AIの仕組みを理解しながらどのような現場に導入できるのかを判断できるスキルが重要です。また、AIは既存のシステムの開発と違い、入念な仮説検証をしながら、複雑なプロジェクトを推進していくスキルが必要です。

どのような現場に導入できるのかを判断できるスキルでは、AIを導入した場合の投資対効果を判断できる人材が求められています。AIを導入することで、どのような効果が期待され、どのように業務が効率化されたり、売上が増加するのかの仮説を立てる力が重要です。AIのプロジェクトでは、完成したAIの精度は100%になることはなく、常に誤った判断が起きてしまうという想定のもとでプロジェクトを進めていく必要があり、投資対効果の判定がさらに難しくなっています。

また、入念な仮説検証では、複雑かつ長期にわたるAIプロジェクトを進める必要があるため、「どんな課題を解決すればいいのか」「その課題は解決できるのか」を検証しながら実証実験を進めなければいけないほか、導入後もAIの精度が保たれているのかを確認し、運用を続けていく必要があります。

さらに、近年では急速にAI技術が発展を続けています。素早く変化するトレンドに対応しながら適材適所の技術活用を進めていく必要があります。

上記の理由から、AIの推進を行っていくには、幅広い専門知識が必要になってきます。多くの企業では、AIを推進する組織をつくり、場合によっては社外から新たなメンバーを招聘することでAIの導入を進めているケースが多く見受けられます。

社内の隅々までAIの活用を推進するためには、特定の部署を作ったほうが便利だから

AIの推進組織が求められている理由の2つ目は、特定の部署を作ったほうが、社内の隅々までAIの活用を推進できるからです。

特に大企業では、事業領域が幅広く、経営陣は社内全体でAIの活用を検討するケースが多くなります。近年では、IT系の企業で、特定のサービス内にAIエンジニアやデータサイエンティストを抱えるケースが増えていますが、それ以外の事業会社では、社内の業務領域全般でAIの活用を検討するためにAIの推進組織がつくられるケースが多くなっています。

AI推進のノウハウや知識が集約されるから

AI推進組織を設置する理由の1つとして、ノウハウや知識が集約されるという理由もあります。1つ目の理由で紹介したように、AIを開発し、運用していくには専門知識が必要です。また、自社独自のシステムと連携なども含め、AIをスムーズに社内に推進していくには、さまざまな知見が必要です。

そこで、各部署でバラバラにAIを導入するのではなく、専門性を持った部隊を構築し、一挙にAIの導入を推進していくことで、ノウハウや知識が蓄積し、さらなるAI活用を推進できるようになります。

フェーズ別 AI推進組織

ここでは4つのフェーズに分けてAI推進組織を解説します。

フェーズ1:外注が中心の企画組織

フェーズ1となるのは、外注が中心の企画組織です。まだ内部でAIを開発する人材や環境が整っていない場合が多く、一から企画を開始し、外部の開発パートナーと連携しながらAIの開発を行い、活用を推進していく必要があります。

フェーズ1では、社内の課題などに精通した上で、仮説を立てて企画を進める実行力がある人材が必要とされます。また基本的に外部のパートナーと連携してプロジェクトを進めていく必要があり、定期的にイベントに参加して情報を収集したり、メディアを回覧しながらトレンドを理解した上で、まずは企画に落とし込み、稟議を通してプロジェクトを立ち上げられるようにすることが求められます。

フェーズ2:内製化を始めるハイブリッド型の組織

フェーズ2となるのは、内製化を徐々に始めるハイブリッド型の組織です。フェーズ1で企画を行い、プロジェクトを完了させ、その後実績が出始めれば、社内のさまざまな箇所でAIの活用が検討されるようになります。

この場合、外部のパートナーを適宜巻き込みつつ、プロジェクトマネージャーやエンジニアを徐々に採用し、内製化を進めていくのがフェーズ2です。

そしてこのフェーズ2の時点で、社内のデータ基盤が整っていないなどの課題が露呈し始めます。全社を通したデータ基盤の整備が検討され、さらにAIの活用がスムーズに進む組織体制が検討されるようになります。

国内では、まだフェーズ2の段階の企業が多くあります。AIの開発を進めるプロジェクトマネージャやエンジニアが市場で不足しており、採用がスムーズに進まないケースや、実績のあるベンダー企業とともにパートナーシップを組んで進めるケースなどがあるためです。

フェーズ3:内製化が完了した企画開発組織

フェーズ3となるのは、内製化が完了した企画開発組織です。

フェーズ2のハイブリッド型の組織を通して、徐々にAI開発を内製化するため、エンジニアなどの採用を進め、AIのプロジェクトを完全に内部で進行できるように進化したのがこのフェーズ3の組織です。

あわせてデータ活用の基盤を整えるデータエンジニアなども採用し、蓄積したデータを活用するBIツールの活用も進みます。

さらに、このフェーズの開発組織では、既存の技術だけでなく、新しい技術開発などのモチベーションも生まれ、大学との共同研究を開始して新しい技術を生み出し、新たなビジネスモデルを模索するケースも生まれてきます。

フェーズ4:AI研究所

フェーズ3では、自社のサービスの機能にAIを実装したりしながら大学などとの共同研究などもスタートし、社内でAIの活用を進めながら、常にトレンドを察知して検討していく体制が整備されてきました。

フェーズ4では、さらに進み、新たな技術の研究開発が積極的に行われる企業内研究所として、AIの活用を進める組織になります。大学の研究所とは違い、中期的なビジネスを模索し、ビジネスサイドと連携しながら、新たな技術を開発していくことが特徴です。

大学などで研究に従事していた研究員が転職してくるケースも多いほか、大学との共同研究も活発化し、論文を学会に提出しながら、知名度を上げ、さらに優秀な人材を確保する体制を整えます。

最後に

今回は「AI推進組織論I」として、AIを推進する組織の必要性や、4つのフェーズについて紹介しましたが、AI推進組織論では、実践編として、実際にAI推進組織を作っていくための5つのポイントと3つのタイプを紹介していきます。

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WRITER

 

  Asei AI/DX専門ライター「Asei」

AIやDXなどが専門のライター。累計執筆数500本以上。 「曖昧な技術を具体的に」を心がけ、トレンドに合わせてさまざまな視点から発信します。フリーのフォトグラファーも。

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