AIベンチャーほどAIをやらなくていい話

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2010年代に入り、技術革新のスピードが急激に速くなっています。

その中でも特に注目が集まったのは機械学習技術(AI)でしょう。インターネット環境の整備だけでなく、データを保存するデータベースの技術発展、計算機の性能の向上などにより、機械学習技術が発展、その精度の高さが話題になり、ビジネスシーンでも「AI」という言葉を聞くことが急激に増えました。

同時にAIのプロダクトを開発したり、AIの開発を受託するAIベンチャーが急激に台頭し、大きく話題になっています。その影響は時価総額にも現れ、2020年12月10日時点の国内のユニコーン企業ランキング1位を飾るのはPreferred Networks社で、その企業価値は3500億円以上とも言われています。

注目の高さからメディアに華々しく名を連ねるAIベンチャーですが、一方でAIベンチャーほどAIをやらなくていい側面があります。

AIベンチャーとは

新たな価値創出の機会としてベンチャー企業への注目が高まっています。一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターによると2010年代に入り、ベンチャーに対する投資額は年々増加し、2018年度の国内投資金額は2706億円だったと推計されています。

2010年代に入ってからのAIへの注目の高さと相まって、AIベンチャーの設立数が増加しています。

特に注目されたのは画像認識分野のAIベンチャーです。機械学習技術を大きく進展させたディープラーニングの発展により、画像認識の精度が大きく向上しました。汎用性が高いディープラーニングは、さまざまな分野でその活用可能性が注目され、さまざまな分野で活用が試みられています。

一般的にサービスを展開し、データが蓄積してから、ビジネスの改善のためにAIを活用するベンチャーはAIベンチャーと言われません。定義は曖昧ですが、創業時からAIの導入を掲げAIをメインの事業に取り入れている企業がAIベンチャーと呼称される傾向にあります。

2種類に分類されるAIベンチャー

AIベンチャーといっても、大きく分けてサービス提供型とベンダー型の2種類に分類されます。

サービス提供型ベンチャー

サービス提供型のベンチャーは、その分野にまたがる共通の課題を見出し、その課題を解決できるサービスを提供するベンチャー企業です。注目されるサブスクリプション型のSaaSのビジネスモデルなどを取り入れ、特定のマーケットでプラットフォーム展開することで事業拡大を狙うケースが多く、さまざまな分野で業務効率化(工数削減)や付加価値の増大を狙って提供されます。

ベンダー型ベンチャー

ベンダー型は、特定の企業からAIの開発を受託し、開発するベンチャー企業です。独自の課題がある企業や、情報セキュリティの観点からオンプレミスでAIを構築する必要がある企業などから委託を受け、AI開発を受託します。

国内では、初期はベンダー型を取り入れつつ、そこで得たノウハウなどを転用し、サービスを提供するハイブリッド型の企業が増加しています。受託開発で得た開発ノウハウを転用し、プラットフォームとして展開することで、利益率の向上を狙っているケースです。

ハイブリッド型のAIベンチャーが増加する理由

現在、多くのAIベンチャーが国内で誕生していますが、ベンダー型の形式を取り入れている企業がほとんどです。

サービスの販売過程では、継続したマーケティング活動が必須であり、ユーザから使い続けてもらう必要があります。サービスの設計段階で、ユーザの課題を深く知り、その課題を解決し、価値を提供できるサービスを構築する必要がありますが、多くのベンチャー企業では、AIを使うこと自体をを売り込み、やや誇大な販促活動を行います。

現在のAIは人間のような汎用性を有しておらず、「AIが何でもしてくれる」ようなイメージを植え付けるマーケティングには注意が必要です。

上記から、AIベンチャーと呼ばれる企業の多くはクライアント企業からAI開発を受託するケースが多くなっています。現在、AI開発案件の単価は、他のシステムの単価に比べて高いほか、納品後もAIの性能を維持するメンテナンスの必要が生じるため、儲けやすいビジネスモデルになっています。

一方でベンダー型のAIベンチャーには課題が生じます。それは売上の天井があることです。ベンダー型のAIベンチャーでは、従業員数がその売上に影響を及ぼします。一人あたりの稼働時間に限りがあるため、売上幅にも上限があり、上場を目指す場合は従業員数を大幅に増加させる必要があります。

この課題を解決するべく、多くのAIベンチャ−では受託開発で得た資金を投資し、サービスの提供を行います。サービスのマーケティングに必要な足元の資金を受託開発で得ながら事業を回していくハイブリッド型の企業と言えます。

AIベンチャーは技術ありきになりやすい

多くのAIベンチャーでは、創業者がAIの技術を有しており、CTOを兼任するケースが多くなっています。これにより、どうしても新しく作るサービスが、AI技術を中心に考えられてしまうことが多く、課題になっています。

本来、ベンチャー企業が創業し、ビジネスを始める上で重要なのは、市場規模を確認した上で、ユーザの課題を解決しながらマーケットシェアを獲得していくことです。

このプロセスの中にAIを活用するという条件が加えられることで、費用対効果が合う分野が極端に少なくなっているのが現状です。

現在、急成長している国内のSaaSのほとんどは、その分野の課題を分析し、その課題を解決できる形で技術を活用しています。課題解決の過程で必要があればAIを活用しますが、AIの活用は必須ではありません。

AI活用に本来必要なのはデータ

現在活用が進むAIは機械学習(ディープラーニングを含む)を指すケースがほとんどです。機械学習は、その高い精度の判断基準を得るために膨大なデータを必要とします。そしてそのデータを生み出すのは紛れもなくユーザです。

AIベンチャーが創業した初期はユーザ数が少なく、保有するデータが少なくなりAIの精度向上が見込めません。仮にオープンデータを活用したとしても、そのデータが条件に合っているとは限りません。この課題を背景に、事業会社と資本業務提携するケースも増加していますが、事業拡大に悩むAIベンチャーが多いのが現状でしょう。

上記から「AIをやりたいなら事業の初期はAIを取り入れずにユーザを獲得する」考え方が重要となります。

2000年代に入り、多くのベンチャーが創業される過程で、サービス開発のノウハウが多く蓄積され公開されるようになりました。

現在、DXへの注目が高まり、AIだけに対する注目が落ち着いています。多くのDXソリューションが提供される中、AIベンチャーは技術を脱し、サービスを提供していく姿勢が求められているといえるでしょう。

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WRITER

 

  Asei AI/DX専門ライター「Asei」

AIやDXなどが専門のライター。累計執筆数500本以上。 「曖昧な技術を具体的に」を心がけ、トレンドに合わせてさまざまな視点から発信します。フリーのフォトグラファーも。

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