DXとかAIとかの前に考えるべき業務の効率化方法

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さまざまな業界で人材不足が続き、有効求人倍率が高い状態が続いています。業務効率化はあらゆる企業、あらゆる部署が共通して持つ課題とも言えるでしょう。そして近年のITの発達により、業務効率化にはさまざまなITサービスが活用されるようになっており、特に日の目を浴びているのが「AI(機械学習技術)」です。

2010年代に目まぐるしい発展を遂げたAIは大きな注目を集め、さまざまな企業が導入を検討しビジネスに取り入れるようになりました。AIによって業務が変革し、私たちの仕事がよりクリエイティブなものに進化し続けています。

一方で、業務効率化=AIの活用と短絡的に捉えることで、業務効率化に失敗してしまう企業も多いのが現状です。この記事では、AIの導入を考える前に考えるべき業務効率化についてお伝えします。

注目される業務効率化

マクロな環境から見てみましょう。
日本は国内の総人口が2053年に1億人を切ってしまうと推測されています。これにあわせて生産年齢人口(15歳~64歳)も減少を続け、 2065年には生産年齢人口の割合は約5割に低下する見通しとされています。あわせて高齢者の増加が続き、日本国内を取り巻く労働環境が今後ますます過酷になっていくことが予想されています。

今後、労働環境が悪くなっていくなか、少なくなった生産年齢人口が効率的に働くことが求められると言えます。

また、企業においても業務効率化のニーズは高まっています。ビズリーチが2019年8月8日に発表した「働き方改革」に関する調査結果によると「残業時間の削減」(83%)と「休暇取得の奨励」(79%)が2大テーマとなっています。

働き方改革が推し進められる中、従業員を新たに雇用せずに残業時間を減らし、休暇の取得を奨励するために、業務効率化が大きく注目されていることが伺えます。

業務効率化の第一想起はAI?

2010年代

コンピュータの処理速度の向上や通信インフラの発展、データベース技術の発達などが起因し、2010年代にAIの注目がかつてないほどに高まりました。特に注目されたのは画像認識技術です。従来の技術では高い精度を出せなかった画像認識において、現在では人間を凌駕する精度で画像を認識でき、さまざまな分野で活用が進んでいます。

2010年代後半にはGoogle傘下のDeepMind社が開発したAlphaGoが人間最強の囲碁棋士に勝利するなど、オセロは10の60乗、チェスは10の120乗、将棋は10の220乗、囲碁は10の360乗レベルのパターンがあるとも言われており、圧倒的なパターン数の囲碁において人間最強の棋士にAIが勝利するのは、まだ先だと予測されていたため、驚きが広がりました。

その他にも多くの衝撃的なニュースが専門メディアだけでなくマスメディアでも報じられ、AIに対する社会の期待は大きく高まりました。

現在

一方で、現在活用が進むAIは、特化型人工知能と呼ばれ、特定のタスクのみを行えます。言い換えれば人間がAIの活用法をデザインする必要があり、AIがツールの域を飛び越えているわけではありません。

2021年現在はDXへの注目によって、以前に比べてAIに対する注目が落ち着いている現状です。しかし、業務効率化を進める際に「なんでもできそう」とAIの検討を始める企業は依然として多いのが現状でしょう。

AI-OCRやチャットボットなど多くの企業で共通化した文字起こしやユーザ対応の工数の課題は、サービスとしてパッケージ化され、比較的簡単に解決されるようになっています。しかし、企業独自の業務課題を解決する際に立ち上がる多くのAIプロジェクトは社内の現状の具体化が不十分なため、途中で頓挫してしまうケースが増加しています。

2018年度から実施された調査「産業分野における人工知能及びその内の機械学習の活用状況及び人工知能技術の安全性に関する調査」(※1)の結果によると、AIプロジェクトの企画・検討のフェーズからPoC(実証実験)のフェーズに進む部分でプロジェクト数が47%も下落することがわかっています。さらにAIの導入時のフェーズ別の課題の集計の結果では、企画立案段階から実運用にいたるまで、約4割の企業が課題を把握していないことがわかっています。

実態を見ると、多くの企業では独自のAIが現場で活用されているケースは多くないといえるでしょう。

実際の業務効率化は日程調整から

では、どのように取り組めば業務効率化が実施できるのでしょうか。筆者の意見では、まずは当たり前を疑い、自分の手が届くところから改善を繰り返していくことが重要です。

例えば筆者は、取引先との日程調整に工数がかかることを課題視し、日程調整ツールを導入しています。
日程調整といえば「どうせ時間がかかるもの」と見過ごされているケースも多いですが、1日に10分、毎月20日働いたとすれば毎月200分(3時間20分)も日程調整に時間をかけていることになります。日程調整ツールを活用すれば、URLを送付するだけで日程を調整できるほか、自動でカレンダーに予定が登録され、予定を忘れるリスクもありません。


【キャプション】筆者が活用する日程調整ツール「YouCanBook.Me

また、筆者は5回以上送る文章があれば、すべてスニペットに登録するようにしています。
一般的にはキーボードの辞書登録機能を用いるケースも多いですが、このツールでは複数行にまたがる定型文章をショートカットキーで呼び出すことができ、さまざまなシーンで活用ができます。

【キャプション】筆者が活用するクリップボード拡張ツール「Clipy

上記のように、AIの技術を使う以前に、身近なところに業務効率化の種は潜んでいます。業務効率化の種を見つければ、その解決策を探し、自分の権限内で工夫することが重要です。AI導入以前にできることはたくさんあるのです。

組織全体で業務効率化のプロセス

まずは身近なところで業務効率化を実践してしていくことが重要です。その上で社内で業務効率化を進めていく際に必要なプロセスをご紹介します。

業務効率化を進めていく上で必要なプロセス

業務効率化において最も重要なプロセスは現状の把握です。現状の把握なしに議論をその先に進めれば、地図や気象環境を知らずに旅に出るも同然です。そのプロジェクトはたちまち失敗に陥ってしまうでしょう。

「現状の把握」と言っても、さまざまなプロセスが必要です。

  1. 現状を把握する

    まずは足を運び現場の声を聞くことが重要です。現状を把握するために多くの企業ではアンケートが用いられていますが、アンケートというフィルタを通すとリアルな現状を理解できません。また当事者が課題を課題と認識していない場合、アンケート結果には反映されず、気づくことができません。
    現状を把握するためには、まずは現場に足を運び声を聞くほか、環境を確認し、どこに課題が隠れているのか、一次情報を取得することが重要です。

  2. 優先順位を決める

    現状を把握したで、その課題が全社でどれほどの機会損失になっているのかを推計します。ある課題がその現場でのみ発生している場合と、全社の至るところで発生している場合では、優先度が高いのは後者です。上記で洗い出した課題はすべてリストアップし、経営視点での優先度だけでなく、技術で実現できる可能性や解決コスト、課題に共感している人の数などの視点で点数をつけていきます。

  3. 解決を試みる

    優先度や実現可能性が高く、解決コストが低い課題から解決を試みます。一般的にAI独自に構築するプロジェクトはコストが高いながらに実現可能性が不透明な場合が多く、技術選定に時間をかけることが重要です。

まとめ

今回は業務効率化の視点でAI活用についてお伝えさせていただきました。

AIの活用をしていても、社内でもメールコミュニケーションが残っていたり、書類が多いなど、基幹的な業務が効率化されていないケースも散見されます。

「灯台下暗し」と言われるようにまずは身近な部分で業務効率化に取り組みつつ、その輪を大きくしていくことが業務効率化成功への一歩となるでしょう。


<出典・引用>

※1
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構,産業分野における人工知能及びその内の機械学習の活用状況及び人工知能技術の安全性に関する調査報告書,2019.
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受けて、PwCコンサルティング合同会社が実施した調査

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WRITER
AI/DX専門ライター「Asei」

 

  Asei AI/DX専門ライター「Asei」

AIやDXなどが専門のライター。累計執筆数500本以上。 「曖昧な技術を具体的に」を心がけ、トレンドに合わせてさまざまな視点から発信します。フリーのフォトグラファーも。

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