AIの活用と費用対効果

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こんにちは、データデザイン部でディレクターをしております中野です。私はお客様が抱えている事業課題を解決するために、データやAIを活用した取り組みをしております。そんな中で、タイトルにあるとおり「AIを活用したら、どのくらいの効果があるのか?」といった疑問を持たれている方がいらっしゃいます。データやAIの活用において、「やってみないとわからないこと」が多いのは実情としてあります。一方で、ビジネスに活用する以上はどのような効果が見込めるのか検討した上で、取り組みたいことは当然です。

そこで、今回は「AI活用と費用対効果」というテーマで、AIを活用した際の経済効果に関してお伝えしようと思います。

目次

  1. AI活用による経済効果の見込み
  2. 期待する経済効果を試算
  3. 小規模な実験から取り組みはじめる
  4. 掛けられる費用に合わせて手法を選択
  5. AI技術をビジネスに導入している企業
  6. まとめ

1. AI活用による経済効果の見込み

企業が経済効果を得るためには、「売上アップ」もしくは「コスト削減」の2通りしかないと考えます。また、1つの取り組みで両方を得ることは考えられますが、シンプルに考えるためにどちらかの効果に絞り、どのような例があるかあげてみたいと思います。

売上アップ コスト削減
来店客の導線分析による購入点数の増加 配送ルートを効率化して運送コストを削減
営業活動の改善による受注件数の増加 冷却設備の効率アップによる消費電力削減
購買レコメンドによる顧客単価の増加 商品の需要予測による在庫コストの削減
会員の解約予測による離反防止 機器の故障検知によるサポートコスト削減

上記に挙げたものは一例でしかありませんが、AIないしはデータを活用することによって企業が得られる効果になります。

効果を考える上で重要になるのが、定量的にどのくらいの経済効果を見込むのかということです。コスト削減の一例である「配送ルートを効率化して運送コストを削減」ですが、AI導入によって、いくらの効果を見込むのでしょうか。

例えば、年間1,000万円のコスト削減を見込む場合、「AIによる配送ルートの効率化」にかけられるAIの開発費(イニシャルコスト)と運用費(ランニングコスト)に見込んだ経済効果を超えた費用は出せません。

一方で、売上アップでも同様のことが考えられます。「営業活動の改善による受注件数の増加」では、年間の売上アップとして1,000万円を見込む場合にかけられる費用は、経済効果により限られてきます。

見込む効果を得るためには、どれだけの費用が必要なのかを見積もる必要があります。しかし、AI活用の際にはどれだけの費用をかければ、どれだけの成果が得られるか、初期の段階では不透明なことが多いです。企業が保有しているデータの量や種類、また目的とする変数によっても期待できる精度が変わります。そのため、精緻な経済効果を見込むことは困難です。

ではどうしたらよいのでしょうか。ポイントを以下にまとめます。

2. 期待する経済効果を試算

プロジェクトの初期段階から、目的や課題設定を明確にしておくことが重要です。その設定から、期待する経済効果を見込みます。コスト削減であれば、既存の業務フローの中でどの部分がAIに置き換えられるかを検討し、置き換えられた場合の経済効果を見込みます。

例えば、今までは人が1件ずつ検査をしていた工程や、分類を判定していた工程に対して、どれだけの時間がかかっているかを見積もります。これらがAIに置き換えられる、ないしは完全に置き換えられなくても9割を置き換えて、残りの1割を人に判断してもらうとします。

その場合に、「検査回数(日)×営業日数(年)×1回にかかる人件費」から年間にかかっているコストを算出し、これらが自動化できるまでにいくらかけられるのかの費用を見積ます。初期の時点では、いくらをかければ完成するのかが不明確な場合もあると思います。

3. 小規模な実験から取り組みはじめる(ただし、本番コストを見据える)

そのため、かけられる総額の中から本番の開発コストや運用コストとは別に「小規模な実験」で期待する置き換えが実現可能か試す必要があります。初期の活動で期待する精度が出れば、計画したロードマップに沿って活動を進めます。

一方で、期待する精度が出なかった場合には、異なった方法や新たなデータ追加などを検討していくことになります。場合によっては、検討した段階で活動を断念することもあります。期待する効果が出られない活動に投資をすることは、後々に費用対効果をわるくするため、学習コストと捉える方がより建設的になります。

4. 掛けられる費用に合わせて手法を選択

初期段階でかけられるコストに応じて、手法を選択する必要があります。検証段階のため、様々な手法を網羅的に実施したいところですが、ほとんどの場合は手法に対してコストが限られてしまいます。

データを様々な方法でモデル化していくことには、それだけの時間と人手が必要になってきます。小規模な実験においても、限られた予算内で費用対効果を見据えて効果の高い検証を計画することが重要です。

5. AI技術をビジネスに導入している企業

ここではまず、国内の人工知能ソリューションの市場について見てみましょう。以下は、株式会社MM総研様「企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)」での調査結果となります。

国内のAI技術をビジネスに導入している企業(n=323)に、最も利用頻度の高いAIシステムの導入効果について評価を聞いた。「導入効果があった」と回答した企業は、「想定以上の効果があった」(1%)と「想定通りの効果があった」(44.6%)を合わせて6割以上であった。導入が成功した理由としては、「AI導入時の目的が明確だったため」や「データサイエンティストなどの適切な人材、もしくはパートナーがいたため」と回答した企業が多かった。

【出典】MM総研「企業の人工知能(AI)導入実態調査(2018年9月)」より引用

上記のような結果から、期待する効果を得るためには導入時の目的の設定や計画が重要と考えられます。

6. まとめ

AI活動における、費用対効果に関する考え方を記してきました。ポイントとしては、「目的や課題設定の明確化」「期待する経済効果に対してかけられる費用見積」「プロジェクト初期の小規模な実験」になります。皆さんのAI活用検討にお役に立てば幸いです。

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WRITER
Hiroki Nakano

ディレクター

中野 広基Hiroki Nakano

ディレクター 中野 広基 Hiroki Nakano ニフティ株式会社 新卒入社。マーケティング部門にて、会員情報のデータ集計、分析 社内向け分析ツールの運営。 現在は富士通クラウドテクノロジーズにて、ディレクターの立場で上記に関連する様々なデータ分析プロジェクトを実行中。JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 認定スクラムプロダクトオーナー

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