「AI」がつかなくなった技術は市場が広がる話

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「近年、最も注目を集めている技術と言っても過言ではないAIですが、みなさんはAIと聞いてどんな活用方法が思いつきますか?」

実は上記の質問に対し、10個以上答えられる方は多くはないのではないでしょうか?

この記事では、『「AI」がつかなくなった技術は市場が広がる話』をテーマに現場のニーズとAIについて考察していきます。

課題を2種類に分けてAI市場を考える

AI技術に注目が集まった2010年代後半、多くのAIベンチャーが生まれ、多くの大企業がAIを活用したビジネスに参入しました。

一方で、冒頭の質問に対し、10個以上の回答がある人はそう多くはないのではないでしょうか。

AIの活用を考える上で、現場の課題をベースに考えることが重要です。現場には業界や分野を横断した汎化課題と、その企業にのみ特化した特化課題があり、それぞれの課題に対するソリューションが市場を形成しています。

汎化課題:業界や分野を横断して認識されている課題。同じ課題を抱えている企業や人が多いので、その課題に特化したサービスとして提供されやすい。AIの分野では、コールセンター分野を横断したオペレーターの業務効率化の課題を解決するためにチャットボットの市場が形成されたほか、手書きの書類のデータ入力の業務効率化の課題を解決するためのAI-OCR市場が形成された。
特化課題:特定の企業やや、小さな業界に特化した課題。社内特有の製品に関する業務効率化など、同じ課題を抱えている企業や人が少なく、クライアントに対し、個別にAIを作成し、納品する形式。

■汎化課題と特化課題の比較表

コスト 導入スピード UI・UX 導入可能業務
汎化課題
特化課題

プロジェクトが複雑で長期に渡ることが特徴のAI分野では、個別の企業の特化課題に適応した受託開発型のAIソリューションが多くを占めています。比較的幅広い分野の条件に合わせて設計をチューニングしてAIを導入可能です。

また、競争性の保持のために秘密を保持したい企業においても、社内で特化したプロジェクトが形成される傾向にあります。

PoCで成り立ってきたAI市場

特化課題に対応したAIソリューションは、予算も大きく、今までのAI市場の成長を大きく牽引してきました。

しかし、特化課題対応型のAIは実用化に至る割合が極端に少なく、現場で活用されていない現状があります。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受けて、PwCコンサルティング合同会社が実施した「産業分野における人工知能及びその内の機械学習の活用状況及び人工知能技術の安全性に関する調査」の結果によると、実用化が完了するAIのプロジェクトの割合は17%しかありません。

AIの分野では、企画段階から要件を設定し、PoC(仮説検証)を行ってから、本プロジェクトが開始、AIの導入後も継続的にメンテナンスが必要になります。この複雑な工程の中で挫折してしまうプロジェクトも多く、現在では、AIの導入への企業の熱はやや冷め始めている傾向にあります。

一方で、汎化課題ではどうでしょうか。AIの分野では、汎化課題(ニーズ)とセットになるソリューションの導入は進んでいます。

以下が汎化課題とそれに対応するソリューションの一例です。

汎化課題の例 ソリューション
売上の予測をしたい AI-OCR
需要予測 テキスト入力業務を効率化したい
コールセンターやカスタマーセンターの顧客対応業務、人事や情報システム部の社内対応業務を効率化したい チャットボット

上記のように、AI以外の名称で認識されるようになったソリューションは独自に市場が形成され、拡大していきます。

今後のAIについて

財務の領域ではfreee、コミュニケーションの領域ではChatwork、飲食店の予約管理のTORETA、法務のクラウドサイン、勤怠管理のジョブカンなど、さまざまな分野で領域に特化して展開するベンチャー企業が多く生まれています。

DXへの注目の高まりの中で上記のようなSaaSを取り入れる企業も増加しているのではないでしょうか。

今後のAIの発展のカギとなるのは、上記のような汎化課題に適応したSaaSのベンチャーがAIをさらに活用していくことです。

バーティカルSaaSでは、最初からAIを活用する以前から膨大なデータを蓄積しています。そのデータからAIを生み出し、さらなる競争の源泉としていくことで、さらに業界が拡大していくと予想されます。

おわりに

「AI」と名前を冠している限り、それは技術でしかなく、ソリューションではありません。AIが、その名の通り課題の解決策としてのソリューションとなれば、AIではなく、他の名称で呼ばれるようになり市場も拡大していきます。

DXの流れで大きく変動する社会の中で、いかにAIという名前がつかなくなった技術が増加していくのか、これからの動向に注目です。

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WRITER

 

  Asei AI/DX専門ライター「Asei」

AIやDXなどが専門のライター。累計執筆数500本以上。 「曖昧な技術を具体的に」を心がけ、トレンドに合わせてさまざまな視点から発信します。フリーのフォトグラファーも。

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