【給食業界 × AI】 開発のフローとつまずきポイントを徹底解説!

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皆さん、こんにちは。データデザイン部でディレクターを担当している林です。
普段は製造業、物流業のAIやデータ活用を軸にお客様の事業課題を解決するプロジェクトを推進しております。
今回は、最近ニーズの高まってきている給食業界×AI活用について、実際の開発フローとAI導入の際に失敗しないためのコツを解説します。

【関連記事】【前編】給食業界で高まるAI活用ニーズ~「献立作成」「食数予測」課題とユースケース!

給食業界におけるAI活用

弊社がよくご相談を受ける内容は以下の3つです。

  1. 来客数予測: メニューに対して、お客さんが何名来るか?(=予想出数)を予測したい
  2. 献立自動生成: 栄養士さんが計画するメニューを自動生成したい
  3. 発注数予測: 発注食材を使い切らずに余らせてしまうので、コストを最小化する発注数を自動生成したい

上記のようなAI活用に取り組む場合、開発フローは下記のような流れとなります。

今回は”2.献立自動生成”に取り組むと仮定し、各ステップの詳細をご紹介していきます。
※ビュッフェスタイルの社食を提供していると仮定します。
※以下のスケジュールや実施内容はあくまで参考であり、お客様の課題や保有データによって大きく変動する事があります。

開発フロー

1. お客様の課題/運用フロー/保有データに関してヒアリング(1か月)

以下のような項目についてお伺いさせていただきます。

  • 課題となっている業務は何か?
    「栄養士さんが行っている献立作成業務の作業時間を削減し、店舗負荷を削減したい」や「作成する献立の質を維持・向上し、顧客満足を獲得したい」などがあげられるかと思います。これらに対し、献立作成の詳細なフローをお伺いするなど、お客様の業務に対する理解を深めます。
  • 社食か病院食か? / 定食スタイルかビュッフェ(カフェテリア)スタイルか?
    病院食であれば食事箋があり、厳密に献立の栄養素が決められています。一方社食では目安カロリーはあるものの、病院食程厳密でない傾向です。
    また定食スタイルか、ビュッフェスタイルかでもAIモデル開発の方向性が変わってきます。
  • データはあるのか?
    各事業所、学校内のローカルルールで献立作成が行われていることが多いため、データが紙で管理されていることもしばしばあります。
  • データは取り出せる状態か?
    献立作成用のツールを導入している場合でも、クラウド化されておらずデータは各現場にてローカルで管理する仕様のものが多いです。

<<つまずきPoint>>
これまで多くの給食事業者様と会話させていただきましたが、必要なデータがそろっている事業者様は一握りです。AI活用の前に、まずデータを活用できる状態かどうか、今一度社内の状況を見直す必要があります!

2. データアセスメント(1~2か月)

お客様から実際にデータを頂戴し、データの質や量からAIモデル開発の実現可否を判断します。
「AI活用失敗の4割はデータに起因する」と言われているように、データの状態(質や量)はAI活用の成功を左右する大事な指標です。
多くのデータを保有していたとしても、そのデータが汚いものであったら意味がないのです。
データが汚い状態というのは、例えば以下のようなものです。

  • 欠損: 本来あるべきデータがない状態です。欠損があまりに多く起きているデータは使用できないこともあります
  • 表記ゆれ: 意味は同一だが、表記の異なるものを指すものです。例えば以下のような場合です。


2日のにんじんには★印がついてますが、それ以外のにんじにんにはついていませんね。こういったものを表記ゆれと呼びます。
【関連ブログ】なぜAIプロジェクトはコストがかかるのか?  ~前処理について~

こういったデータの状態をお客様自身が判断するのは非常に困難であるため、弊社データサイエンティストがデータの状態を診断するサービスをご用意しております。
【ご参考】データを価値に変える最初の一歩 『AI活用診断レポート』について

<<つまずきポイント>>
データがあったとしても、それが今すぐに使える状態にないことが多々あります。
「多額の投資をしたが、データの質が悪くて使い物にならないモデルになってしまった」 or 「そもそもモデルが構築できなかった」といった事態にならないためにも、事前にデータの中身を診断することが重要です。

3. モデル開発(3か月~6か月)

実現可能性を評価した後に、献立を作成するAIモデルを開発します。
3か月を1サイクルとして開発を進めることが多く、モデルの精度がお客様の求めるレベルに達しないといった課題がある場合、もう1サイクル回し課題を解消していきます。

使用するアルゴリズムはお客様保有のデータによってオーダーメイドで組み立てることがほとんどですが、
献立生成の場合は共起分析(※)や、素材や栄養素といった基準からレシピ間の類似度を分析することが多いです。
(※)共起分析とは、自然言語処理の分野においてある文字列とある文字列が同時に出現する発生率を分析する手法です。例えば、焼き魚とひじき、カレーと春巻きといったように、よく一緒に組み合わされるメニューを分析するのに使用します。

<<つまずきポイント>>
現行のフローで、栄養士さんがどういった基準で献立を作成しているかが明確であることが重要です。
人が行っている作業をAIに代替させる場合、人が無意識のうちに決定していることをAIに学習させるのは非常に困難です。
ただし、献立生成という特色上、最終的な微調整は栄養士さんの裁量で行われることも多いかと思います。
そういった場合、次のステップ「4.個別チューニング」で、各事業所の栄養士さんの傾向を反映させていきます。

4. 個別チューニング(2か月~6か月)

事業所の数が多い場合、事業所ごとにチューニングを行う必要があります。
例えば、体力を使うような企業ではがっつり系の食事が好まれるが、デスクワークの多い企業ではヘルシーな食事が好まれるといった事業所ごとの特色を反映させます。
3で開発したレコメンドベースのシステムに対して、栄養士の方からフィードバックをもらうことで個別にカスタマイズを行っていきます。(この工程にかかる期間は、お客様の事業所の数に大きく左右されます)

<<つまずきポイント>>
栄養士さんの感覚と完全に一致するまでチューニングを続けるのは、費用対効果の面から見てコスパが悪いです。ある一定の基準まで達したらよしとするという精度のラインをあらかじめ決めておくことが重要です。

5. API開発(2か月~6か月)

構築したAIモデルのAPIを開発することで、お客様のシステムとのつなぎこみを行います。

おわりに

以上が、実際に献立自動作成モデルを開発する際の一連の流れです。いかがでしょうか、実際に開発を進める際のイメージは湧きましたでしょうか?

給食業界におけるAI活用は、2020年に流行期に入っているように感じます。2019年頃から、メディア等で給食業界の大手事業者による具体的な事例を目にするようになり、直近では中規模の事業者様も具体的な検討をされ始め、弊社への問い合わせも大幅に増えております。
本記事が、給食業界のみなさまの課題解決の一歩につながれば幸いです。

データ分析、AI活用におけるご相談があればお気軽にこちらこちらからお問い合わせください。
以上、最後までご覧いただきまして誠にありがとうございました!

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WRITER
Maako Hayashi

Maako Hayashi

林   真亜子 Maako Hayashi

AI・データ活用のディレクターを担当。お客様のAI活用のプランニングから プロジェクト推進を支援。 JDLA Deep Learning for GENERAL 2019 #3

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