【対談企画・前編】コロナ禍の今だからこそ考えたい、企業に必要なデータ活用とは

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企業のマーケティング活動やプロダクト開発などにおいて欠かせない、データ活用。やみくもにデータを利用するのではなく、正しい方法で分析しなければ真価を発揮できません。

そこで今回、弊社の金岡が、マーケティング領域でのデータ活用に知見のある株式会社Legoliss(以下:レゴリス)の加藤氏をお迎えして、「企業に必要なデータ活用」をテーマにお話しさせていただきました。その内容を前後編に分けてお送りします。

前編では、
  • 企業が保有するデータの質・量の実態
  • 使えるデータを集める時に必要なことは何か
  • データ利活用しやすい業界・業種は何か

についてお伝えします。これからデータ活用に取り組む方や、どのように取り組めばよいか悩んでいる方はぜひお読みください。

はじめに~現在の担当業務について

加藤氏:レゴリスの加藤英也と申します。
元々は広告代理店出身でサイバーエージェントという会社にいまして、その後教育系の会社を経て今レゴリスにいます。データアーキテクトとして企業のいろんなデータを使ったマーケティングの設計や、その技術的な支援をしております。


株式会社 Legoliss データアーキテクト 加藤 英也 氏
株式会社セプテーニでSEM入札ツールの開発や、アクセス解析ツールを活用したユーザビリティなどテクノロジーとウェブマーケティングを掛け合わせたコンサルティングを推進。その後、サイバーエージェントにてアドテクノロジー領域の事業推進、エンジニアとして配信システムやターゲティングシステムの開発に従事したのち、レゴリス入社。現在は主にCDP関連のコンサルティング、テクニカルアドバイザーやビジネス開発・広報を担当。

加藤氏:レゴリスでは「つなぐ、つなげる」というテーマを掲げながら、データを活用したマーケティングにおける様々なパーツをつないでいくような仕事をしています。例えばその技術的な支援としてプラットフォームの設計やインフラの設計、さらに分析まで、様々なパーツにおいて、企業様が色々やりたいけどできないところ、今後加速させていきたい部分をフォローさせてもらっています。

金岡:ありがとうございます。レゴリスさんは非常に幅広なソリューションを提供されていますが、我々はかなり領域特化なので、そのあたりの話ができればと思います。レゴリスさんはかなり上流の工程からインプリメンテーション(実装)まで全て見られているという理解で良いですかね。

加藤氏:そうですね。その部分で「つないでいく」というところが結構重要になっています。自社ソリューションをドーンとガッツリやるというよりいろんなところと繋がってご支援させていただくイメージですね。

 

金岡:続きまして、私は富士通クラウドテクノロジーズの金岡と申します。富士通100%子会社ですが、ほぼ独立して動いています。


富士通クラウドテクノロジーズ データデザイン部 金岡 亮
プランナーであり上級ウェブ解析士。メーカーのIoT新製品開発のコンサルティング、広告代理店のDMP開発のディレクター、不動産会社のAI開発のディレクターを歴任。
現在はデータデザイン部にて自社プロダクト開発の責任者を担当。

金岡:会社としてはパブリッククラウドのビジネスがメインで、我々はそこから独立して機械学習の開発にフォーカスをしているチームとなり、主にお客様のデータを使って機械学習のモデル開発、システム化、業務導入を支援するのが我々のメインビジネスです。その途上で、データそのものが足りないよね、という時にデータそのものをご提供する「データサービス」を提供しています。モデルの変数ってお客様が持っているデータだけだと記述しきれなくて、外部データの利活用が非常に重要になってきます。

単純に「機械学習を作ります」というのではなく、足りないデータや、やりたい施策に合わせてデータを、ある意味カタログとして提供してあげて、その中からほしいデータを調達して施策の実行に移していただくという目的でデータサービスを作っています。たとえば政府統計や人工衛星取得画像などのデータを収集してすぐに機械判読可能な状態に加工し、プリセットでデータを提供するとことが可能です

お客様の施策でお使いいただいたり、あとは分析を内製されているお客様にデータだけ販売したりもします。御社みたいなパートナー様の施策の中の一つの道具としてご提案していただくことも想定していますね。あとはAI開発の中で必要だったから作っておいたデータを、一緒にクロスセルするようなこともやっています。

ということで、ざっくりではございますが、我々はいわゆる“AIの開発”と“データの販売”、大きく分けるとこの二軸で動いているチームです。

顧客案件を実施してきて、データの質・量について思うこと

質・量ともに揃っているのは稀なケース

金岡:本日のテーマは「企業に必要なデータ活用」になります。今はコロナウイルスの影響で、いわゆる営業訪問だったり、対面で何かをしたりするのが非常に難しくなっています。そんな中で、デジタルやデータを使った科学的な判断、施策というのが重要になってくるのではないかなと思い、今回このテーマを掲げさせていただきました。

これまで我々も機械学習の開発やいろんなデータの加工、オープンデータの販売をやってきましたが、実際マーケットで顧客案件をやられてきて、データの質や量についてはいかがでしょうか?

加藤氏:そうですね。かなりの数をやらせてもらっていますが、“質・量ともに揃っています”みたいなケースはかなり稀かなと思います。使えるか使えないか分からないデータがたくさんあるんですよね。通常「会員登録のデータ」って当然使えるという判断をするわけなんですけれども、じゃあデータを使った時に何が出るんだろうってところまで意識して質を見るのって、その時点では結構不可能に近いんです。そうするとクレンジングは必ず必要です。名寄せしなきゃいけなかったりするので。

本質的に「他のデータとこう組み合わせることができるよね」「じゃあこのデータを早めに出した方がいいよね」という判断になる、いわゆるデータの質みたいなところを見るのは、できているところはほぼないんじゃないかなと思いますね。かつ、「メーカーさんならPOSデータも全部持っているので全部使いましょう」みたいになるケースもやっぱり少ないんですよ。当然、小売さんを経由して販売しているところもあるので、どうしても業務的に持っていないデータが必ず出てきちゃうんですよね。

金岡:業務的に手に入らないってありますよね。

加藤氏:ありますね。業務的に手に入らないか、法務的に手に入らないか。基幹システムに入っているデータは取れないとか。まあそういうところもあって、(質と量)両方揃っているケースは非常に少ないんじゃないかなという気は正直します。

データ活用には組織的な壁も

金岡:我々も同じ問題に直面していて、例えば、メーカーさんのPOSデータを手に入れて、独自のECサイトで販促をするためのエンジンを作りましょうという案件だったんですけど、流通の方からブロックが入って「やるな」って怒られたり、そういうデータとは関係ないとこで止まったりするんですよね。

加藤氏:組織的な課題とか壁とかもあると思いますし、もともと分社化していたものが一緒になった場合にデータの切り方が違うとか。

金岡:耳が痛いですね。CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の分離が超大変ですね。

加藤氏:文化が違うものを合わせていかなきゃいけないってことが多くて。それこそすごいベンチャーで急激に伸びているところとかはもうデータベース一個しかありません!みたいな感じでシンプルなんですけどね。

金岡:そういうところは逆にやりやすいかもしれないですね。

加藤氏:ですね。ただこの基幹システムは二十年もので、このCRMは去年導入したものですというのを合わせようと思うと、どうやろうかな…と感じますね。

金岡:例えば御社ですと、流通のお客様とかも多いのかなと思うんですが、フランチャイズとか権限委譲を現場にし過ぎているからデータがぐちゃぐちゃになるケースってあるんじゃないかと思ったりしています。

加藤氏:フランチャイズじゃなくても店舗が絡んでいる場合は、直営で全部DX化されていても、全部繋がってますみたいなことがない限り難しいと思います。実際、何かの店舗数が多い少ないにかかわらず、店舗の人たちが運用しているルールっていうのがあるんですよね。それってやっぱり本社的にも全部縛るわけにもいかないですし。縛らなかった時に何が起きているのかを把握しているわけでもないという状態になっています。

たとえば、「店舗でお客さんの情報をどうやって管理されてますか?」と聞くと、「台帳をつけています」と。いわゆる紙で管理していて、お得意様はカードで管理している。なるほど、デジタルですらないと。あるあるなんですよね。

こういうお客様の注文の履歴が付箋にメモ書きで積み重なっているとか、メモの何ページ目ですとか。それが何千人もありますと。でも何千人分で相当な金額の売上げが上がっているというところもあったりして。じゃあそれを一旦集計して何かに活かしていく時、どういう動きをしたほうがいいのか…という時に、その現場のいわゆるお客様の相手をする接客担当の方に、業務後にそれを打ち込んでもらうこともありました。

金岡:オペレーション変わっちゃいますもんね。

加藤氏:そのオペレーションを変えるところから必要で。そこは協力的だったので実際にはできたんですけど。店舗のメンバーを含めて、今まで何を買ったか、どんな感じで、どんな感情で買ったかどうかを書いてもらって、全部入力してもらって、それをまた別のデータベースに入れて集計するといったところをやってみたんですけど。結構業務とデータの量・品質がセットになっているところが多くて、大きな課題になりがちかなーっていう。

総括すると、データそのものの問題というよりは業務オペレーションとか、そもそもデジタルと接点があって、その従業員とかデジタルと接点のある人が簡単にデータを入れられて、データも資産としてちゃんと管理されているのかというような、わりと組織体制みたいなところが原因になるケースが多いんですよね。どんなデータでも、組織が動かなければ価値を生まないと思うので、そこを動かしていく必要があるんじゃないかと思います。

 

業種によるデータ活用のとらえ方の違い

多くの”ファン”がいることは大きな強み

金岡:質問を変えたいと思います。私も最初はアンチパターンというか、データが汚くて進まなかったり、お客様と議論できるところまでたどり着かなかったりしたケースがあるなと思っていたんですが、気になるのが、業種によって活用の仕方が違うんじゃないかなと思いまして。

たとえばオペレーションがうまくいっていてデータも綺麗だったパターンとか、その業種ごとにある種の成功例があれば、他の方々が参考にできるんじゃないかなと思い、この質問を用意しました。レゴリスさんのほうで「うまくいきそう」とか「うまくいってるな」と思う業界ってありました?

加藤氏:はい。スポーツや、メーカーさんでもブランドが非常に強いお客さんとかは結構やりやすいですね。なぜかと言うと、その文化が揃っているから。あと消費者側の文化も揃っているんですよ。これが欲しいというニーズがあるとやっぱりその変数が整いやすいというか、ファンの方が継続して何かを行っているというデータもあるんですよね。

金岡:トラフィックがあるってことですね。

加藤氏:そう、あと分散していない。いろんなところでいろんなことをしているとしても、ある程度ひとつの目的に対して皆さんが積み重なっているので、たとえば「チケットを買いたい」とか「グッズを買いたい」とか、「どこか応援したい」とか、そういったニーズがある程度、ある状態でデータが積み重なっていくので、「じゃあ一緒にもっと盛り上げていくためにはどうしたらいいんだろう」というシンプルなサイクルが回せるんですよね。

金岡:母集団の多さってありますよね。

加藤氏:そうですね。母集団が多くてニーズが揃っているケースというのは、エンタメ業界もそうですが、わかりやすいですよね。先ほどお伝えした生活消費財のメーカーさんですと、分散するのでなかなか捉えづらかったりしますが、シンプルにファンマーケティングみたいなのはやりやすいですね。

金岡:強固に何かひとつの「ここといえばこれ」みたいなものがあるようなケースだとやりやすそうですね。

加藤氏:そうですね。もちろんどちらも分析はできるんですけど、難易度は低めになりますね。

金岡:おっしゃる通りですね。単純にトランザクションの量があると思うし。

加藤氏:火をつける目的がわかりやすいんですよね。先ほどご説明いただいた通り、目的変数をどうやって決めるのかって結構難しい部分だと思うんですよね。

金岡:そうですね。

加藤氏:「このイベントに向けてこれぐらいガツンと何か盛り上げたい」みたいな、わかりやすい目的があると再現性高くできるところもあるかと。

金岡:それこそデータを使う意義というか、科学的な再現性の担保ですよね。今お話を伺っていて思ったんですが、私の例だと、前に担当した教育系とか、そういうそもそもデータを使う偏差値という考え方があって。“統計”が業務にも根ざしているようなお客様や、あとはメーカーでいうと研究開発ですね。ゴリゴリ検証をやっているようなお客様がAIの導入をしたいってケースが結構多いですね。

そして今、伺っていて思ったのが、そのデータを使うのも、そもそもAIとか、DWHとか、テクノロジー以前にデータをちゃんと使う業務をしているか、すごいナショナルブランドというかブランドが強いトランザクションの多い「強者」なのかと思ってしまうんですよね。逆にマイクロなブランドとかがデータ利活用するにはどうすればいいのかなと考えてしまうのですが、なにかお考えがあればぜひ伺いたいなと思います。

前編のまとめ

  • 企業が持っているデータで質・量ともに揃っているケースは稀
  • 手持ちのデータを利用するならクレンジングは必須
  • 使えるデータを揃えるためには組織全体を動かさないとダメ
  • ブランドが強い企業のデータは活用しやすい

    今あるデータを活用したいと考えた際、「そのデータは本当に使えるデータなのか?」「使えるデータを揃えるためにはどうすればよいのか?」をしっかり考える必要がありそうですね。

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    以上が前編となります。いかがでしたでしょうか。引き続き、後編では「データ活用の課題と、課題へのアクション」についてお伝えしていきますのでぜひご覧ください。
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    WRITER
    DataDesign

    データデザイン事業

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