データ分析とモデル開発のその前に―KPIの設計とデータドリブンなアクション

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弊社データデザイン部では、様々な企業のモデル開発やデータ分析を支援してきました。
その中で多いのが「データはとりあえずあるんだけどこれから何かしてほしい」というご相談です。
データはデータが生成される元となった事業活動や業務に密接に紐づくため、「何かする」ためには
        1. その事業や業務を把握
        2. その事業と業務重要なKPIを設計
        3. そのKPIを軸に、付随するサブKPIや目的変数を設計、モデル開発や分析を実施
といったプロセスを踏むため、膨大な工数が必要です。
本稿では、まずモデル開発や分析の前に必要な、「良いKPI」の設計について、デジタルマーケティングを例に上げながら一定の仮説をお伝えします。上手にKPIを組み立てられると普段からデータを元にしたアクションが可能となり、データ分析やモデル開発を外部に依頼する際もスムーズにプロジェクトを進めることができます。ぜひ御覧ください。

アジェンダ

  • KPI設計のアンチパターン
  • KPI設計のコツ
  • KPIの活用
  • まとめ

KPI設計のアンチパターン

こんにちは、自社プロダクトのプロダクトマネージャーをしております金岡です。
以前は広告代理店などのデジタルマーケティング系データ分析・基盤構築のご支援をしておりました。本稿は自分の過去の経験から、「良いKPI」についての一定の仮説をお伝えします。最初に、KPI設計のうち、筆者が実際に体験したアンチパターンを2つご紹介します

1. あれもこれも

とりあえず見られるデータは全部見ようとして、KPIとされる数値が羅列するパターンです。ウェブサービスやアプリで各機能すべてのログを取ろうとすると起きる現象です。悪くなっている数値を見たら対処療法的なアクションしかできず、現場が非常に疲弊します。また、どのデータを見ればいいのか分からないため、意思決定者とデータ提出側(多くの場合現場)とのコミュニケーションがうまく行きません。

2. データを見た結論が「がんばる」になる

例えば月次の「売上合計」がこれに当たります。その数値の増減からは関係するプレーヤーがアクションアイテムを(ほぼゼロベースで)自分で考え、「がんばる」必要があります。売上など経営から見たときは非常に重要なんですが、事業や業務のアクションがいまいち反映されません。これらはむしろ「KGI」(経営目標達成指標)の類です。

 

KPI設計のコツ

1. 生データを見る前に業務とデータの在処を整理する

ソース:Wikipedia


まず「あれもこれも」問題への対処です。多くの場合、業務全体が把握されていないから優先順位をつけず「すべてのデータが見たい」となってしまうのです。
そこでまずは分析やモデル開発、ダッシュボード開発に入る前に業務の全体フローを整理することをオススメします。この整理のためのフレームワークは様々なものがあり、弊社でも色々なものを試しているのですが、「サービスブループリント」が使い勝手がよさそうです。 「サービスブループリント」とは、ある事業や業務を切り出し、以下を時系列で整理したものです。

  • 事業や業務の構成要素
  • ユーザーがその事業や業務との接点において行う一連の行動
  • ユーザーの行動に伴い、従業員・運営者が行う一連の行動
他の要素が含まれることもありますが、おおよそ以上の3つは共通していそうです。社外向けの事業(サービス)、社内業務でも同様です。サービスブループリントを作ると、ユーザーが行う行動のうち、重要なもの、そうでないもの一定の優先順位が決められます。
また、「沢山データは取っていたけど真に必要な値は取っていなかった」ことに気づくケースもあります。例えば、ウェブフォームの問い合わせは取得していたが、実際の商談回数は取得していなかったケースがこれに当たります。データ化されていない、リアルなオペレーションが事業上のボトルネックになることはよくあることです。

2. 「コンバージョン」から遡り、ボトルネックを見つける

続いて「データを見た結論が『がんばる』になる」問題への対処です。作ったサービスブループリントで「コンバージョン(=課金などの望ましい結果の完了)」のポイントを押さえましょう。
次に、このコンバージョンのポイントからフェーズを逆に遡りながら、実際のデータを見ていきます。そして「一番コンバージョンを疎外しているポイント」を見つけます。
例えばECサイトであれば、課金前に見ている商品一覧ページの離脱が一番大きいといったポイントです。その疎外しているポイントの改善をKPIにすると、アクションに繋がりやすい「良いKPI」となります
商品一覧ページからカートへの追加が一番の離脱ポイントなら、カートへの追加を後押しできるようなアクションを実施することができます。売上等の最終的な目標は一番スループットの低くなっているポイントの改善・増加なしには向上しないからです。

KPIの活用

以上によってサービスとデータの全体像を整理し、効果的なKPIを設定できたとしましょう。今度はこのKPIを用いて何らかのアクション(施策)を実施しなければなりません。最後に、KPIの活用方法の例として、「KPIを質的な要素でセグメントする」方法をお伝えします。
先の例で言うと「商品のカート追加数」をKPIにしたとします。ユーザーの属性が取れていれば、この商品の追加数をユーザー属性ごとにセグメントし、「最もKPI達成するユーザーの種別」「最もKPI達成しないユーザーの種別」を明らかにします。
「最もKPI達成しないユーザー」はなぜ達成しないのか、要因を深掘りすることで改善点や施策の種を見つけられます。またサービスブループリントで可視化したKPI前後の動きを深掘りするのも有効でしょう。例えばB2BのLPならば、「商談数がKPI→特定のコンテンツを読んだ顧客の商談化数が高い→特定のコンテンツの充実」といった施策の種を見つけることが可能です
量的変数であるKPIを質的な変数(例:属性、サイト滞在時間上位など)でセグメンテーション、細かなボトルネック、改善ポイントを見つけていくのがデータ分析のファーストステップと思われます。

まとめ

KPI設計のためには以下の手順を踏む必要があります
  • 全体のフローを整理
  • コンバージョンから遡り、ボトルネックになっている部分をKPIにする
  • 質的な変数でデータを分け、KPIの改善に向けて施策決定・実行する
本稿では、デジタルマーケティングを例に出しましたが、「工場の歩留まり」や「コールセンターのオペレーション」など、社内業務でも基本的な考え方は変わりません

これらが社内でできていれば「より効果的なセグメントの分け方」や「KPI値の予測によるプロセス改善」「施策の自動化」など、さらに発展したデータ活用に進むことができます。

 

弊部データデザイン部では、サービスブループリント上のデータを整理し、データ分析の基盤となるDWHの構築、機械学習の導入、KPI関連データと組み合わせることのできるさらなる分析用データセットの提供と、データにまつわるお困りごとに幅広に対応することが可能です。お気軽にご相談ください

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WRITER
Ryo Kaneoka

プランナー

金岡   亮 Ryo Kaneoka

複数の新規AI・データ活用サービスの企画およびPMを担当する。大手広告代理店様/メーカー様のビッグデータ活用の支援等の実績あり。   JDLA Deep Learning for GENERAL 2018、上級ウェブ解析士

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