日本、きらめく夜の街ランキング~衛星データから分析するナイトタイムエコノミー~

このエントリーをはてなブックマークに追加

はじめに

初めまして。弊社データデザイン部でデータサイエンティストをしています衞藤と申します。
普段はオープンデータサービスのチームでプロダクト開発を行ったり、ソリューションチームで時系列予測や自然言語処理を用いた案件に取り組んでいます。

皆さんは、「夜の街」と聞いた際にどのようなイメージをお持ちになるでしょうか。
「ちょっと怖い」「夜景がきれい」「終電を逃した」等あるかと思いますが、親しみよりちょっとした距離感を覚える方も多いかもしれません。

しかし、近年日本ではそんな「夜の街」のイメージを払拭してより夜間経済を盛んにしようとする動きが、2020年オリンピックを控え講じられています。

この、「夜の街」の経済活動は『ナイトタイムエコノミー』と呼ばれており、国交省では

”ナイトタイムエコノミーとは、18時から翌日朝6時までの活動

(国交省「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」より引用)

と定義され、主に日没から日の出までの経済活動のことであるとされています。
具体的には、夜間営業している飲食店や夜間のライトアップ、博物館等の様々なアクティビティー(ナイトライフ)による経済活動をあげることができます。

日本は「ナイトライフがあまり充実していない」ということが外国人観光客から指摘される課題の1つである、という調査(日本交通公社「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2019年度版)」)があります。
このような課題から日本では、2017年にナイトタイムエコノミー議連を発足するなど、日本におけるナイトタイムエコノミー拡充に向けた動きを見せています。

具体的に、ナイトタイムエコノミーが促進されることでどれほどの経済効果が表れるのでしょうか。
ナイトタイムエコノミーが盛んなロンドンでは、自治体主導の活動を通して約3.7兆円の経済規模にまで成長しました。
このことからも、日本におけるナイトタイムエコノミー拡充によって大きな経済効果が期待されることがわかります。

さて、これからナイトタイムエコノミーが充実するかもしれない日本ですが、出店等の判断の際にはそれなりに夜に活気があるエリアへの出店を検討するかと存じます。
しかし、実際にナイトタイムエコノミーが活発な場所はどこなのでしょうか。
インターネットを通した検索ではなかなか具体的な調査やデータは出てきません。

そこで今回は、「ナイトタイムエコノミーが盛んな地域は夜間であってもギラギラと光っている」と仮説を置き、弊社が作成している分析用に加工済みの全世界の夜間光のデータStarflake nightviewを使ってナイトタイムエコノミーが活発な地域の推定を実施しました。

こちらの記事では、ナイトタイムエコノミーが盛んと推定される都市を夜間光データを元にランキング形式でご紹介いたします。
これからナイトタイムエコノミーに事業拡大を検討されている事業会社の皆様はぜひご参考ください。

夜間光強度の抽出

それでは、実際に夜間光データからナイトタイムエコノミーが盛んな都市を推定していきます。

今回は2019年1年間の夜間光データから250m四方あたりの夜間光強度を抽出しました(抽出にあたり夜間光データに適した前処理を施しています)。

GISツールで可視化すると、日本全土のうちどこの夜間光が強いかを確認することができます。しかしこのままではざっくりとした地域間の比較しか実施できません。
そのため、今回は国土数値情報が公開している平成23年度用途地域データを用いて対象を「商業地」に限定した上で地域間の比較を行いました。

これにより、全国のどこの商業地の夜間光が強くナイトタイムエコノミーが活発であるかを抽出することができます。

夜間光強度ランキング

抽出した商業地ごとの夜間光の強さをもとに、ナイトタイムエコノミーが盛んと考えられる都市をランキング形式に成型いたしました。
4位から20位までの結果をまとめた表が以下になります。

主要な都道府県として、「東京、大阪、愛知、兵庫、福岡、神奈川、静岡、北海道」がランクインしていることが分かります。
各都道府県の中でも、中心的な位置づけの地域が多い印象があります。

3位 ちょっと意外、でも納得のあの都市

夜間光の強さ第3位の地域は「北海道札幌市中央区」です。夜間光の強さはなんと300で、渋谷とほぼ同等です。

渋谷と札幌が同じ規模で比べられることは少ないかもしれませんが、2018年の記事(ascii.jp「ナイトタイムエコノミーは難題 渋谷と札幌が抱える同じ悩みとは」)では札幌も渋谷も等しくナイトタイムエコノミーに課題を感じていたことが分かります。

どちらの街も夜間に営業する魅力的な飲食店等はあるものの、夜の街のイメージを払しょくできず訴求しきれていないといった点が課題のようです。
また札幌市中央区はすすきのが位置する地域であり、ランキングの順位としても直感的であるかと思われます。

2位 確かに元気いっぱいのイメージがあるあの都市

夜間光の強さ第2位の商業地域は、「大阪府大阪市中央区」です。

夜間光の強さは札幌市中央区より更に大きく343と、10位の東京都千代田区から100以上の差があることが分かります。
大阪府の2大繁華街であるキタとミナミのミナミに位置する中央区は、有名な道頓堀のグリコサインが夜もきらめく街です。

大阪市は夜間経済に対して課題感を持っており、大阪観光局さんへのインタビュー記事(「データに基づく観光マーケティング戦略。大阪観光局。」)では、夜間経済の調査のためにキャンペーンや公共Wi-Fiを通じた滞在情報収集、「Osaka Night Out」(海外旅行者向けのナイトライフ紹介サイト)のアクセス解析等勢力的に活動をされていることが分かります。
このことからも今後も大阪は継続的に夜間経済が発展する見込みがあると言えるでしょう。

1位 圧倒的な差をつけて堂々と光り輝くのは

夜間光の強さ第1位の商業地域は「東京都新宿区」です。

夜間光の強さは大阪市中央区より更に大きく400と、2位から更に50以上の差をつけています。
世界1位の乗降者数を誇る新宿駅を有し、高層ビルが立ち並ぶ新宿区は若者から社会人まで様々な年代の人間が集う街です。
新宿はゴールデン街を代表とした飲み屋街が立ち並び、実際の調査においても外国人旅行客や日本人がナイトライフを楽しむ代表的な都市であることがわかっています(東京都「平成30年度東京のナイトライフ観光の実態調査・分析」)。

日本人の場合は会社帰りに居酒屋等に立ち寄る確率が多く、経由する位置にある新宿は夜に人が集う街になっていると考えられます。

日本の商業地夜間光強度ランキング(上位20地域)

上位3地域も含めた日本の商業地夜間光強度ランキングを再掲いたします。
このように、夜間光データを用いた解析により日本のナイトタイムエコノミーの発展状況を推定・比較することができました。

まとめ

結果として、日本で2019年時点でギラギラしている街は新宿をはじめとした大規模な繁華街であることが分かりました。

日本の「夜の街」の代名詞であるような地域が結果として抽出されましたが、このような結果の背景には、日本の風営法も関係していると考えられます。
現在の日本の風営法では、「深夜酒類提供飲食店営業」は用途地域が住居とされている地域には出店できません。
また「特定遊興飲食店営業」の店舗の設置の際はさらに厳しく、地方自治体ごとの制限があり大阪府では北区と中央区のみ、東京都では23区内の特定の商業地域となっています。
そのため、様々な業種が営業可能な繁華街地域は必然的に夜間経済が発展するといった傾向があると考えられます。

今回の記事を通して、日本のナイトタイムエコノミーが発展している都市がどこなのかを夜間光データを用いることで推定することができました。

今後は、様々な都市でもナイトタイムエコノミーの促進が図られこのランキングの順位が容易に変動することが考えられます。
こちらのブログの執筆の過程でオリンピックの延期の動きがありましたが、果たして日本のナイトライフに変化があるのか、来年度も同様の解析を実施してご報告できればと考えております。

参考資料

国交省「ナイトタイムエコノミー推進に向けたナレッジ集」
日本交通公社「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2019年度版)」
ナイトタイムエコノミー議連
国土数値情報 用途地域データ
ascii.jp「ナイトタイムエコノミーは難題 渋谷と札幌が抱える同じ悩みとは」
「データに基づく観光マーケティング戦略。大阪観光局。」
Osaka Night Out
東京都「平成30年度東京のナイトライフ観光の実態調査・分析」
大阪府 営業所設置許容地域

Starflake資料ダウンロード

貴社が抱える事業課題や経営戦略に、当社独自の"人工衛星画像データ加工サービス"がお役に立てるか、この機会にぜひご検討ください。
こちらからStarflakeの無料PDF資料をダウンロード可能です。

資料ダウンロードはこちらから

WRITER
Shota Eto

データサイエンティスト

衛藤   祥太 Shota Eto

データデザイン部 データサイエンティスト。入社してから取った資格は狩猟免許(一種・わな) 。

最新記事

ページTOPへ