AI事業者が選ぶ世界のAIサービス事例:小売・流通業界編
こんにちは、データデザイン部にて自社AIサービスの企画を担当している金岡と申します。
企画担当としての業務上、様々な業種のAIサービスのリサーチをして参りました。
これから私の投稿では、数回に分けて各業種のAI活用サービスの中で特に先進的だと感じた事例をご紹介していきたいと思います。
皆様の業務へのAI適用のヒントになれば幸いです。
今回は「小売・流通業界」でのAI活用サービスをピックアップします。
小売業でのAI活用はAmazon Goなどの無人化店舗がすぐに頭に浮かぶかと思います。
しかし、それだけにとどまらない業務の様々な場面でAI活用の可能性があります。以下、ご紹介してきます。
目次
AIサービスの事例
1. POSデータパターン分析「CB4」
- https://cb4.com/
- 「CB4」は2010年ニューヨーク創業のスタートアップ
- リアル店舗を持つ小売企業向けSaaSを提供
- 既存のPOSデータをアップロードすると、SKU単位(注:Stock Keeping Unitの略で、受発注・在庫管理を行うときの、最小の管理単位)、店舗単位での購買パターンを捕捉
- 最適なオペレーション(仕入れ、値付けなど)を関連する店舗スタッフ向けにレコメンドできるとのこと
- POSのパターン認識技術は特許取得済み
2.AIパーソナルスタイリング「StitchFix」
- https://www.stitchfix.com/t/hero
- 「Stitch Fix」は2011年サンフランシスコ創業のスタートアップ
- サイズや服の好みに関するアンケートに答えると、自分好みの服やアクセサリーが5アイテム定期的に配送されるサービス
- 家に送られてきた5アイテムを試着してみて、購入する場合はそのままキープ、不要なものは返送用の袋に入れてポストに投函すればOK
- 最初のアンケートや返品やキープによる好みの分析、仕入れなど、サービスのあらゆる箇所に別々のアルゴリズムが用いられ、好みや経済状況に合わせた配送のパーソナライズ・在庫・生産(データを元にデザインからパーソナライズしているとのこと)の最適化を実現
3.ダイナミックプライシング×フードロス削減「Wasteless」
- https://www.wasteless.co/
- 「Wasteless」は2016年創業のテルアビブのスタートアップ
- 強化学習を用いた食料品向けのダイナミックプライシングサービスを提供
- 商品個々につけるRFIDタグ、デジタル値札、在庫管理用SaaSを提供
- 賞味期限、売れ行き、在庫など様々なパラメーターから価格を動的に変更、賞味期限の短いものは安く提示するといった価格設定が可能になる
- 導入したスペインのある店舗では廃棄が1/3削減でき、売り上げは6.3%伸びたという
4.セレクトショップ向けAIマーケットプレース「Faire」
- https://www.faire.com/
- 「Faire」はサンフランシスコ創業のスタートアップ「Indigo Fair」のサービス
- 個人のクラフト作家の作品に特化したセレクトショップ向け仕入れサービスを提供(作家には商品登録ページを払い出し)
- 製品は石鹸や菓子など幅広い
- セレクトショップのサイトやInstagramを画像解析、販売数や在庫管理効率から最適な作品をレコメンドしてくれる
- 60日間は返品無料で店舗やサイトに置くことができるため、セレクトショップは在庫リスクを負うことがない
5.Amazon Go as a Service「Aifi」
- http://aifi.io/
- Aifiは2016年創業のサンタクララのスタートアップ
- 元Amazonのメンバーが創業、小規模店舗でも利用可能な「レジなし」店舗システムを開発
- カメラ・センサー・AIを活用することで、顧客が棚からとった商品を判別でき、顧客はアプリを使用して決済を行う
- 既に店舗にある既存のカメラも利用できるとのこと
- 小規模店舗も含め導入可能な月額課金サービスとして提供
6.AI行動解析「Vaak」
- https://vaak.co/
- 「Vaak」はソフトバンク系のVC「ディープコア」からも出資を受ける日本のスタートアップ
- カメラによる行動解析に特化した技術を保有、万引きが疑われる不審な行為を映像から検知することができる「VAAKEYE」、カメラだけで無人・省人店舗を実現する「VAAKPAY」を実現
- VAAKEYEでは詳細行動を認識できる技術によって「いつ、どこで、どのような身体的特徴を持った人が、どのように万引きをしたか」を自動検知する仕組みを構築
- 実際の万引き犯逮捕実績もあり
補論:小売・流通業へのAI導入の難しさ
今回は世界の小売・流通業関連のAIサービスをご紹介してまいりました。
在庫調整、仕入れ、販売、価格設定、セキュリティと小売・流通業の様々な業務にAIを活用する可能性があることがお分かりいただけたかと存じます。
しかし、これらのサービス群を見ると、AI活用の困難も見えてきます。
それは、小売・流通業の業務は個々で切り出しにくく、AI活用をするとなるとシステムおよびデータの相互連携を考えなくてはならない点です。
例えば上記に挙げた「Wasteless」のようなことを実施しようとすると在庫管理システム、POS、IoT値札+RFID機器の相互連携が必要となります。「Faire」や「StitchFix」の高度な需要予測システムも在庫と販売、CRMなどのシステム(およびその中のデータ)を連携して初めて可能になります。
おそらく多くの小売・流通業者様がAI活用に注目されているかと思いますが、AIで最終的に実現したい体験および業務フローがどのようなもので、そこに向かうためにはどのようにステップを切るかが極めて重要です。「まず、どこからAIを導入するか」「最初のパイロットプロジェクトにどれぐらい投資できるか」「必要なデータ、システムは何か」を明確化することが業務のAI化のカギとなります。
最後に、手前味噌ではございますが、弊社データデザイン事業ではこうしたAI活用のお悩みにもご対応が可能です。
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プランナー
金岡 亮 Ryo Kaneoka
複数の新規AI・データ活用サービスの企画およびPMを担当する。大手広告代理店様/メーカー様のビッグデータ活用の支援等の実績あり。 JDLA Deep Learning for GENERAL 2018、上級ウェブ解析士