飲食店にカメラを設置して顧客分析したいときの、炎上リスク軽減対策を紹介します

このエントリーをはてなブックマークに追加

こんにちは、データデザイン部でディレクターをしております古川です。
普段はお客様のAI・データ活用を軸にした課題解決プロジェクトを推進しています。

今回やること

今回は、サービス業・小売業などの実店舗において、カメラを用いてデータ活用したい、となった場合の留意点や対策等を紹介します。

アジェンダ

  • 結論
  • やりたいこと
  • カメラ画像利活用ガイドブックを参照しよう
  • 実際にこういう対策をしよう

結論

店舗においてカメラを用いてデータ活用したくなったら、カメラ画像利活用ガイドブックを参照しましょう。その際、カメラ画像のデータ活用を実施している旨の公表や画像の保存方法等に注意して、炎上リスクの軽減対策を施しましょう。カメラ画像のデータを扱う上で、プライバシー対策等は必須です。

やりたいこと

弊社に寄せられるお客様の要望において、頻出なのは以下の4つです。

  1. レジのお客さんの待ち人数と、お客さんの待ち時間を知りたい
  2. お客さんの店舗内の導線を知りたい
  3. お客さんを自動で判別し、過去の購買履歴や属性を知って、オススメをレコメンドしたい
  4. 店外の交通量を知って、どれだけの人が入店に至っているのかを知りたい

カメラ画像利活用ガイドブックを参照しよう

前述した1~4のやりたいことを実現できそうな手段の一つとして、ビデオカメラによるデータ取得および分析、が挙げられます。ビデオカメラを店舗に設置して、画像データを取得し、分析する、ということです。技術的には問題なく可能です。

が、こんなことをして、ちょっと不安になりませんか?個人情報やプライバシーへの配慮が足りなければ、どこで問題になってしまうかわかりません。

そこで、カメラ画像利活用ブックの出番です。

カメラ画像利活用ガイドブックとは

一言で言うと、「店舗において、マーケティング目的でカメラを使う場合の留意点や対策等をまとめた文書」です。IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省のお墨付きであるところがポイントです。

では、マーケティング目的とはなにか、ですが、ざっくりと、防犯以外の目的で使う場合はほとんどマーケティング目的に該当する、と考えた方が現実的です。

本ガイドブックでは、マーケティング目的の例として、以下のような類型でカメラ画像の利活用シーンを分類しています。おそらく、店舗で使う場合には、これらのいずれかに分類されると考えられます。

(私にはこれ以外には思いつかないです)


《IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省 カメラ画像利活用ガイドブックver2.0 図表5》
・横軸の6類型:カメラで取得するデータの利用用途の分類です。
・縦軸の3類型:カメラを設置する場所の分類です。

そもそもなぜガイドブックが必要なの?

カメラを活用する場合の留意点や対策などがわからないと、「何をしてもOK」「何をしたらNG」「何をするのが望ましい」というようなことを判断するのが難しいからです。

カメラによって取得できるデータには、一般的に、個人に関する情報が多く含まれています。例えば、鼻の高さ、歩き方、精度が高ければ指紋や虹彩も識別可能な水準で取得できるかもしれません。カメラによって取得できるデータは、個人を識別できるだけの十分は特徴量を持っている可能性が高いです。


《IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省 カメラ画像利活用ガイドブックver2.0 図表2》

これらの取扱いを誤ると、個人情報保護法やプライバシー権に抵触し、不法行為や炎上となる可能性があります。とは言っても、法律で定められているのは汎用的なルールが中心です。法律は、「こうすれば良いよ」というような手引きではありません。そこで、本ガイドブックを参考にして適切なルール設定をしましょう、ということになります。

※ただし、法律ではないため、本ガイドブックは、事業者に対して、記載している対策などを強制するものではありません。

どういう場合は、本ガイドブックが参考にならないの?

防犯目的と私的利用です。例えば、防犯目的でカメラを活用する場合は、利活用には該当しないとして、本ガイドブックで記載されているような利用目的の通知・公表は不要とされています。また、自宅の庭を撮った画像をインターネット上に公開する場合は、本ガイドブックの摘要範囲外とされています。

(もちろん、写り込んでしまった通行人の顔などには十分に配慮する必要はありますが)

実際にこういう対策をしよう

では、それぞれのやりたいことについて、店舗側が実施した方が良さそうな対策をいくつか記載します。ここでは、数ある対策のうち、重要そうなものだけを、私の判断でピックアップしています。また、基本的なセキュリティ対策(運用体制や暗号化、アクセスコントロール等)は実施している前提とします。

※それぞれのケース間において、対策に重複はあります。重複している対策は、ベースとして推奨度が高いもの、とお考えください。

1.レジのお客さんの待ち人数と、お客さんの待ち時間を知りたい

対策
  • 必要な情報を取得した後の、画像の破棄
  • 個人を特定できないよう、データの処理
  • 個人ではなく、統計情報として保存
  • 店舗におけるカメラ利用についての、お客さんからの問い合わせ窓口の設置
  • ホームページでの、カメラ利用についての事前告知・稼働中告知の実施
  • 店舗のポスター等での、カメラ利用についての稼働中告知の実施
  • 告知においては、「目的を混雑の分析・お客さんの利便性向上とする旨」「特定個人に繋がらない旨」「自社のみの利用とし、第三者へ提供しない旨」の明記

2.お客さんの店舗内の導線を知りたい

対策
  • 必要な情報を取得した後の、画像の破棄
  • 個人を特定できないよう、データの処理
  • 個人ではなく、統計情報として保存
  • 店舗におけるカメラ利用についての、お客さんからの問い合わせ窓口の設置
  • ホームページでの、カメラ利用についての事前告知・稼働中告知の実施
  • 店舗のポスター等での、カメラ利用についての稼働中告知の実施
  • 告知においては、「目的を店舗内行動履歴の分析・お客さんの利便性向上とする旨」「特定個人に繋がらない旨」「自社のみの利用とし、第三者へ提供しない旨」の明記

3.お客さんを自動で判別し、過去の購買履歴や属性を知って、オススメをレコメンドしたい

対策
  • 必要な情報を取得した後の、画像の破棄(60日など、一定期間後の破棄)
  • 画像の破棄後は、個人ではなく、統計情報として保存
  • 店舗におけるカメラ利用についての、お客さんからの問い合わせ窓口の設置
  • ホームページでの、カメラ利用についての事前告知・稼働中告知の実施
  • 店舗のポスター等での、カメラ利用についての稼働中告知の実施
  • 告知においては、「目的を、お客さん個人の特定による来店履歴・購買履歴の分析や、店舗による提案品質を上げてお客さんの満足度向上に寄与とする旨」「自社のみの利用とし、第三者へ提供しない旨」の明記

4.店外の交通量を知って、どれだけの人が入店に至っているのかを知りたい

対策
  • 必要な情報を取得した後の、画像の破棄
  • 個人を特定できないよう、データの処理
  • 個人ではなく、統計情報として保存(数値のみの保存)
  • 店舗におけるカメラ利用についての、お客さんからの問い合わせ窓口の設置
  • ホームページでの、カメラ利用についての事前告知・稼働中告知の実施および計測地点の明記
  • 店舗のポスター等での、カメラ利用についての稼働中告知および計測地点の明記
  • 告知においては、「目的を人数の計測とする旨」「特定個人に繋がらない旨」「自社のみの利用とし、第三者へ提供しない旨」の明記

まとめ

今回は、店舗でカメラを用いてデータ活用をしたい場合の、要望別の対策をざっと紹介しました。

IoT推進コンソーシアムおよび本ガイドブックに関連する活動は活発で、2019年5月には、「カメラ画像利活用ガイドブック 事前告知・通知に関する参考事例集」というタイトルの事例集が掲載されました。

これは、「事例は?じゃあ、具体的にどういう場所にどんな文言で告知すれば良いの?事例!事例!!」という声に応じたものと考えられ、大変具体的な掲載例が20件ほど紹介されています。

掲載においては、合わせて本事例集も参照することを推奨いたします。

参考

カメラ画像利活用ガイドブックver2.0

https://www.meti.go.jp/press/2017/03/20180330005/20180330005.html

カメラ画像利活用ガイドブック 事前告知・通知に関する参考事例集

http://www.soumu.go.jp/main_content/000619826.pdf

経済産業省ウェブサイトのコンテンツの利用について

https://www.meti.go.jp/main/rules.html

サラリーマンのためのデータサイエンス基礎講座

データサイエンスの基礎から便利なフレームワーク、そしてデータを直接操作してAI開発を体験できるハンズオンまでを網羅した、人気の半日集中講座を毎月開催しております。

データサイエンス基礎講座はこちら

資料の無料ダウンロード

貴社の事業課題に向けたAI活用の各種資料をご案内いたします。

資料請求はこちら

WRITER
Sho Furukawa

ディレクター

古川 翔Sho Furukawa

ニフティ株式会社 新卒入社。2010年より自社IaaSの企画・営業・顧客への導入支援コンサル業務に従事。 現在は富士通クラウドテクノロジーズにて、ディレクターの立場で上記に関連する様々なデータ分析プロジェクトを実行中。   JDLA Deep Learning for GENERAL 2018 IPA 高度情報処理技術者(ITストラテジスト)

最新記事

ページTOPへ