実務で使える衛星データを!新サービス「Starfake」で目指すこと

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弊社では、人工衛星で取得されたデータをディープラーニングなどのデータサイエンス技術を用いて分析し、地表のさまざまな物体の大きさや時系列での変化量をCSVファイルに加工・ご提供するサービス「Starflake(スターフレーク)」を2019年7月より開始しました。

現在は森林および植生面積「Starflake Forest(スターフレーク・フォレスト)」と貯水量および水域分布「Starflake Water(スターフレーク・ウォーター)」そして都市の夜間光である「Starfake Nightview」の3つのメニューを提供しています。

本稿では、なぜ我々のようなAI/データサイエンスを生業とするベンダーが衛星データビジネスに参入したのか、背景と特徴、そして本サービスで何を目指すのか、担当者からお伝えします。

アジェンダ

  • 着想の背景
  • 衛星データ活用の課題
  • Starflakeのアプローチ
  • ユースケース
  • Starflakeで目指すもの

着想の背景

こんにちは。データデザイン部で自社プロダクト開発の責任者をしております金岡と申します。Starflakeの企画・開発PMを担当しました。まず、そもそもなぜ我々のような宇宙/衛星から遠いプレイヤーが衛星データビジネスを始めたか、その背景をお伝えします。

事業会社のAI開発、データサイエンスに地理空間情報が頻出

まず、第一には既存事業である「事業会社のAI開発やデータ利活用」支援において、地理空間情報のニーズが非常に強い点です。
お客様のデータを用いてオーダーメイドな学習済みモデルを開発したり、BIツールを用いてアドホックに分析・レポーティングを行うことがいまの我々のメインビジネスです。例えばファーストフード事業者様向けにおいて「明日、何人お客様が来るのか」予測するモデルを開発したり、不動産事業者向けに特定のパラメータを入力したら物件の価格査定を自動で行うモデルを開発する、といった形です。

参考

上記の例では特に分かりやすいですが、事業会社のデータ活用ではかなりの確率で「地理空間情報」が出てきます。「CRM内の顧客住所」「POSデータに紐づくエリア情報」「店舗住所」など、モデル開発やBI活用をしようとするとほぼ確実にこの「地理空間情報」や「エリア関連データ」が出てきます。エリアによってデータを複数のグループに分けたり、従来の取引実績から営業戦略を決定したり、企業のデータサイエンスに「地理空間情報」は大きく寄与しているのです。
しかし、事業会社が内部で持っている自社データだけでは、エリアの様相を分析するには十分でないケースが多いです。例えばそのエリアに住む人口はどのくらいなのか。地価はどれぐらいなのか。どのくらいの経済的なパワーを持っているのか。自社データだけで上記を特定することは不可能です。オープンデータなどの手段もありますが、あまり活用されていないのが現状と思われます。

そこで、分析に使いやすい、地理空間情報をサービスとしてご提供することを考えました。リサーチの末に出会ったのが衛星データです。

衛星データの可能性

衛星データはビッグデータ、地理空間データの最たるものと言えるでしょう。まず、衛星データは「莫大な情報量」を持ちます。
単なる光学画像だけでなく、地表面の温度や地下の鉱物の存在がわかるものまであります。

そして国境にとらわれない「広域性」、定常的に高頻度で更新され続ける「時系列性」という特性もあります。人力で地上を調査するよりはるかに低コストに情報を把握することができ、ある程度のトレンドを追うこともできます。何らかの形で利活用できればお客様のデータ活用を強力に支援できると考えました。

画像の出典:
宙畑『衛星データのキホン~分かること、種類、頻度、解像度、活用事例~』

衛星データ活用の課題

情報利用までのハードル

しかし、衛星データには大きな課題があります。まず、とにかく得たい情報を抽出するまでが極めて難しいのです。一般的な「ほしい情報・期間・地点が確定してから、衛星データから情報を抽出して利用するまで」のフローを書いてみました。

まず、必要な情報を得るためには人工衛星データを取得しなければなりません。しかし、実は衛星によって取得できるデータ、更新頻度、エリアが異なります。人工衛星データ取得の前に、仕様とプロバイダのリサーチが必要です。
そして、購入する場合は契約・発注を経て、データをダウンロードします。衛星データは良くも悪くも広域で様々な情報を取得しているため、大変な容量となります。弊社では、ある地域の1年間分のデータダウンロードで2週間かかったものがありました…
データが手元に来たら、ようやく解析です。衛星データの解析には様々な落とし穴があります。タイムスタンプ、緯度経度歪みの補正、雲の除去…まとまったドキュメントも少ないのでリサーチしながら進める必要があります。上記をクリアして、実際に衛星データを利用するまで、だいたい4ヵ月かかります。

4ヵ月という数字は弊社がR&Dをした際の実績値です。また、すでに衛星データを利用されている複数のお客様にヒアリングした結果も概ね4ヵ月という数字でした。

他データとのマッシュアップの難しさ

現在、衛星データを加工前の状態で扱えるのはQGISなどのハイレンジな分析ツールとなります(また、多くの場合これらの分析ツールはローカルで動くデスクトップアプリです)。
外部データを用いてデータ活用をする場合、すでにお客様が保有するデータセットとマッシュアップして様々な分析を試みるのが当然の流れだと思うのですが、衛星データはそれも一筋縄ではいきません。

QGIS

画像の出典:
How to configure WMS using Sentinel Hub service

 

Starflakeのアプローチ

そこで、弊社では複数種類の衛星データとそこから取れる情報についてR&Dを実施、結果を元に衛星データのダウンロード・情報抽出・整形を社内ツールで自動化いたしました。これにより、お客様は実際に手間となる部分をすべてショートカット、地点・期間・情報を指定すれば非常に短期間で衛星データ由来の情報をデータ分析に用いることができます。

現在は任意の場所の森林面積、植生面積の時系列変化データ「Starflake Forest」、水域分布の時系列変化データ「Starflake Water」、地表面における「夜間光」の時系列変化データ「Starflake Nightview」の3種類を提供しております。

ユースケース

StarflakeのアウトプットはCSVですので、集計・加工がしやすい点、特定のツールや環境に依存しない点、他のデータとのマッシュアップしやすさが強みです。

Starflake Forest,Waterの抽出例(meshid = JIS規格5次メッシュID、ndvi = 植生、ndwi = 水域面積)

  • StarflakeデータはMicrosoft Excelで集計することができます。例えばある地域の植生の1年間の推移を調査したいという要件があったとします。Starflakeならばエリアと日付で集計すれば簡単に実現することができます。精緻に時系列性の分析をしたい際にも容易に加工できます。
  • TableauやMicrosoft PowerBIなどのBIツールなど、地図が描画できれば容易に可視化することができます。Starflake Waterによって過去の水害地域を可視化、具体的にダメージを受けたエリアを特定することができます(BIツールでStarflake Forest、Waterを可視化した例)
  • お客様独自で保有するデータやその他のデータとマッシュアップすることでさらなるインサイトを得ることも可能です。例えばStarflake Nightviewと住宅価格の相関を分析、モデリングに活用するなどです。なお、Starflake Nightviewでご提供する夜間光データと住宅価格・地価は正の相関があることが確認できました(以下図は23区の住宅価格の中央値と夜間光の中央値の散布図)

Starflakeで目指すもの

最後に、今後Staflake によるデータ提供で目指すことをお伝えしたいと思います。
まず、店舗を持った流通小売業、飲食業、配送業、不動産業、金融業など、地理的な特性とビジネスとの間に何らかの関係がある業界・業種に対して、Starflakeシリーズを広く提供、市場のデータ活用を一歩先に進めたいと考えています。地理データは様々な企業のデータ活用の基礎です。Starflakeならば、「手軽に使えるビッグデータ」としてこれを強力に後押しできると確信しています。

そして、Starflakeによるデータの販売に加え、データを基軸にしたコラボレーションなども積極的に展開したいと思っています。例えばSaaS、アプリケーションベンダ様へのStarflake展開・機能開発の実施や、Staflake データを用いた新規サービスの開発などです。従来、弊社の競合となっていたような事業者様ともオープンに協業したいです。衛星データのように、境界なくビジネスパートナ―を広げ、データビジネスの市場拡張ができればと思っています。

ご興味のある方は、ぜひお気軽にご連絡いただければ幸いです。

Starflake資料ダウンロード

貴社が抱える事業課題や経営戦略に、当社独自の人工衛星画像データ加工サービスがお役に立てるか、この機会にぜひご検討ください。
こちらからStarflakeのPDF資料をご案内いたします。

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WRITER
Ryo Kaneoka

プランナー

金岡 亮Ryo Kaneoka

複数の新規AI・データ活用サービスの企画およびPMを担当する。大手広告代理店様/メーカー様のビッグデータ活用の支援等の実績あり。   JDLA Deep Learning for GENERAL 2018、上級ウェブ解析士

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